【実は私達百合でした。二人で相談して順平にーちゃんに竿役になって欲しいんだけど今来れる?】
世の中には、文面を見ただけでは意味の分からない文章というものが沢山あると思う。
今届いたメッセージは、そのなかでも特上に意味不明だろう。
そんな本文が添えられて、一枚の写真が送付されているメッセージが着信音と共に届いた。
俺が二人の幼馴染みの女の子達とグループを組んでいるアプリの画面である。
そこに映るのは俺より2歳年下の可愛らしい女の子二人。
俺の家の隣に住んでいる女子高生、【
囲むように反対の隣に住んでいる【
ツヤのある黒髪、細いのに柔らかいのが見ただけで伝わってくる曲線美を描く腰のくびれ。
活発なのに柔らかい表情で愛らしさが内側から滲み出ている
もう一方の
全体的に桃色掛かったカラーはアニメにでも出てきそうなほどに眩しい。
それでいて優しげな瞳と柔らかそうな腰つきというギャップ。
母方に外国の血が混じっていて隔世遺伝によって日本人とは違う色の髪で生まれてきたらしい。らしいんだけど、桃色の髪の人種なんているのか思い当たる節はない。
でも可愛いから問題に感じたことはなかった。
ともかく、女の魅力をこれでもかと詰め込んだ二人の美少女は、何よりも特徴的な部位として胸が非常に大きいのだ。
決してアンバランスにならず、均衡の取れたプロポーションに欲情しない男はいないだろう。
女の子達が愛読しているお洒落雑誌のモデルとして人気を二分している売れっ子二人はとても仲良しだ。
高校生にして既に完成されていると言っても過言ではない造形をした二人が映っている写真の何が凄いって、可愛らしいリボンをあしらったパンティ一枚の格好であることに他ならない。
性格も特徴もまるで違う。しかし、ずっと一緒に過ごして育ったのか二人の顔は双子のようによく似ていた。
どっちかの家で生まれた双子を分けて育てたと言われても違和感がないほどそっくりで、これまで何度も双子に間違われている。
突然送られてきた画像には、見知った二人のまったく知らない裸体が晒されていた。
正確に言えば小さい頃は一緒にお風呂に入ったりもしていたので"全く知らない"は嘘になるが……成長した二人の、という意味ではやはり知らないと言える。
いつもは服の下に隠れて見えないあられもない姿が惜しげもなくさらされ、送付された意味不明な文面がなければ迷わずオカズにしてシコっていただろう。
いやそれよりも何よりも、この文面はどういうことだろうか?
【二人で相談して順平にーちゃんに竿役になって欲しいんだけど今来れる?】
竿役って……。
『ピロン♪』
トークアプリの続きにはこう綴られている。
『私達、実は付き合ってたんだけどさ、順平兄ちゃんの体貸してくんない? イチャイチャの時に欲しいんだよね』
顔文字付きで明るく言っているが、なんだって!?
付き合ってた? 誰と誰が!?
説明が
大いに混乱する俺であったが直接聞いた方が早いと思い、ベッドから飛び起きる。
「すぐ行く。どこ?」
『
急いで寝間着にしていたスウェットを脱ぎ捨てて最低限の身だしなみを整える。
二人は今時の女子高生らしく身だしなみにはうるさい。特に出かける時に俺がみっともない格好をしている事は決して許容してくれないのだ。
いつもズボラな俺であるが、みっともない格好をしていると怒るので素早く身だしなみを整えられるスキルが身についてしまった。
とにもかくにもこめかみが熱くなるのを抑えて玄関のドアを開ける。
歩いて20秒も掛からない左隣の大きな邸宅に辿り着いてインターホンを鳴らす。
少し前まで我が家にも頻繁に遊びに来てたし、なんなら泊まりに来たりもしていた。
思春期に入ってからはさすがに泊まりはなくなったものの、何かと世話焼きな
美少女女子高生が1人で暮らすとなると、何かと物騒だからな。
幼馴染み二人はその容姿の美しさゆえに何かとトラブルに巻き込まれがちだった。
それを守りたくて小さい頃から習っていた武術のおかげでそんじょそこらの暴漢は撃滅できる身体は作ってある。
お陰様で中三あたりから急激に背が伸び始め、今では190近くにまでなってしまった。
しばらくするとカメラ付きインターホンのスピーカーから柔らかい声がしてくる。
『あ、順平兄ちゃんいらっしゃい。すぐに開けるね』
ガチャリと開いた大きめの玄関から、控え目な視線と共に困ったような表情の美少女が顔を出す。
「突然ごめんね……
出てきたのは
「びっくりしたぞ。何の冗談だあれは?」
「えっとそれは……」
「にっしっし~。冗談じゃないんだなぁこれがっ」
玄関のたたきに足を踏み入れると、快活で甲高い声を出すもう一人の美少女が腰に手を当てて仁王立ちしていた。
「
「と、とにかく上がって。お茶煎れるから……」
ともかく状況を理解するために二人から話を聞くことにする。
広いリビングの大きなソファは真っ白でふかふか。
とても座り心地が良くて我が家の安物椅子とは雲泥の差だ。
その感触を味わいながら
「そんで? あれは一体どういうことだって?」
「だからぁ。見たまんまだよぉ」
あっけらかんと言い放つ
まったく冗談を言っているようには見えず、困り顔ではにかんでいる
二人はカップルよろしく非常に色っぽい表情を作りながら抱き合う。
「私達、百合カップルだったのでした~~♡」
主にはしゃいでいるのは
昔から嬉しいことがあってもそれを表に明け透けに出す事を苦手とする
感情表現が控え目な
「なるほど。
「そのとーりっ!! 私達はガチレズの人だったのでした~~~っ!!」
性格が真逆なのに妙にウマが合うらしい二人は仲睦まじいことで有名だったが、まさかその感情が恋愛のそれだったとは
確かに二人はとても仲が良い。
それこそ周りにはその百合百合しさが尊いなんて言われたりもしているが、それはあくまで「キャラ付け」として楽しんでいるに過ぎない。
そう思っていたのだが……。