目次
ブックマーク
応援する
2
コメント
シェア
通報
ハズレ職業『エスパー』によって追放された俺、魔王すら超える力を手に入れる
ハズレ職業『エスパー』によって追放された俺、魔王すら超える力を手に入れる
ももちく
異世界ファンタジー冒険・バトル
2025年06月10日
公開日
1.1万字
連載中
如月有人《きさらぎ・あると》は河川敷でエロ本を拾う思春期真っ盛りのすけべ男子だ。 そんな彼の下に一通のDMが届く。   TRPG風のキャラクターシートを前にして彼は望んだ……。 本日のお勧め職業「エスパー」 この能力を手に入れれば、いろんなすけべイベントを拝めると!   しかし……選んだエスパーはハズレ職業だった! せっかく聖女を助ける勇者として、異世界召喚されたというのに、このエスパーのせいでアルトは速攻、聖女パーティから追放されてしまう!  女神「透視、透明化、時間停止って、まさに男子の夢がつまってるもんね。ハズレ職業を選んでも仕方ないか~(呆れ)」 アルト「いや、あなたがお勧めしたんでしょ?」 女神「……あはは。わたくしだって間違いのひとつやふたつあるわよ~」  アルト「ちくしょう! 俺を元の世界に戻しやがれ!」 女神「邪龍、邪神、魔王を倒したら考えてあげる~彡」 女神がそもそもの原因(半分はアルト自身のせい!)で始まった聖女パーティからの追放劇。   それでもアルトは諦めない! この世界でしぶとく生き残る道を選ぶ! 女神の仲介により再び聖女パーティと合流する。  しかしアルトは恨んでいた……。 自分を追いだした聖女パーティにエスパー能力を思う存分、ぶちかましてやろうと企んだ!   そんなアルトと聖女たちが繰り広げるどたばた邪龍・邪神・魔王退治の旅が今まさに始まろうとしていた!

第1章:突然始まる異世界転移

第1話:アルトの日課

「ボストンバッグ発見! 第1調査隊の如月有人きさらぎ・あると、突貫します!」


 高校1年生の如月有人は学校の帰り道、河川敷にポツンと置かれていた黒革のボストンバッグを発見した!


 彼はお宝の匂いに敏感だ。きょろきょろと辺りを見回す。犬と一緒に散歩しているお爺ちゃん。運動不足を解消するために走っているジャージ姿の青年。


 彼らはまったくこちらに気付く様子もない。しめしめと思いながら、ボストンバックのチャックを開く。


「うひょぉ~♪ 俺が睨んだ通り、お宝の山だ! この湿り気具合。捨てたのは昨夜……っぽいな?」


 有人はボストンバックの中身を吟味する。ざっと見た感じでは30冊はある。どれもこれもエッチな恰好をしている女性が表紙を飾っていた。


 この量を一度に自分の家に運ぶのは不審者すぎる。親に悟られないように2~3冊で収めなければならない。


「べっぴん倶楽部……SMマニア……人妻ガール。よし! 今日のオカズはこれで決まりだ!」


 ほくほく笑顔でボストンカバンからその3冊を取り出し、自分の学生カバンへと移動させる。残りはハイエナ小学生が持っていくことだろう。


 ハイエナ小学生に刺激が強すぎるプレイ内容のものは自分が排除しなければならない!


 ボストンバックのチャックを締め直して、自分は優雅に河川敷を後にした。目指すは我が家。スキップ、スキップ、ルンルンル~ン♪


 自宅に着くと、中学1年生の妹と目があった。あちらは「げっ……」と嫌そうな顔をしている。家族に対して、そんな顔しなくていいだろうと思ってしまう。


 妹曰く、お兄ちゃん臭い! だそうだ。妹の気持ちもわからんでもない。高校生になってからわかった。男子ってこんなに臭いんだなと。中学生の頃には感じなかった。


 体育の授業の前に男子更衣室で着替えるのだが、男の自分ですら同じ男の汗や体臭をゲロが吐くレベルで臭く感じてしまう。


 これが精通を迎えてしまった男のSAGAなのだろう。そして、自分は今、エロ本を学生カバンの中に入れている思春期真っ盛りの日本男児である。


 精巣から精子が溢れんばかりにパンパンだ。それを中学1年生の妹は敏感に察知しているのだろう……。


(ふっ……お兄ちゃん、悲しいぜ。汚れるのはパンツだけかと思ったが、いつの間にか俺の心も汚れちまった)


 階段を登り、2階にある自分の部屋へと入る。学生カバンからさっそく戦利品のエロ本を取り出す。


 前菜はべっぴん倶楽部。スープにSMマニア。メインディッシュの人妻ガールでがっつりフィニッシュ。計画は完璧だった。


 しかし、ここで制服のポケットに入れておいたスマホがブルッ! とひと際大きく震えた。


「なんだ? DMが届いてやがる」


 スマホを手に取り、SNSアプリを立ち上げる。ダイレクトメールが自分のアカウントに届いていた。


 いつもなら即ブロックしてしまうのだが、この日だけは違った。DMの内容にじっくりと目を通すことになる。


「えっと……何かの懸賞に応募してたっけ?」


--------------------

switchonP5proご当選おめでとうございます!

厳正なる審査の結果、あなたは勇者になる権利を得ました!


つきましては以下のURLから当サイトへ飛んでいただき、必要事項を記入お願いします!


URL:HTTP://yggdrasil_online/user_aruto/character_sheet


--------------------


 なんとも詐欺メールっぽい内容だった。それでもいつもとは違い、URL部分を親指でタップした。


 するとスマホの画面が切り替わり、TRPGでおなじみのキャラクターシート画面が出てきた。キャラ絵のところにはすでに自分の証明写真がセットされている。


「よくできた詐欺サイトだな。でも……こちらの住所や電話番号とか口座番号を書くような欄は無し。そして振り込み先番号も書かれていない……な?」


 親指で画面を上下にスクロールさせて、そういった詐欺に繋がるものがないか確認する。


 普通のお遊び用のサイトなんだと結論づけた。


 ならば、日課のオナニーの前にこのお遊びに付き合ってやることにする。


 職業を選ぶ項目で本日のお勧めに『エスパー』『調教師』『墓守』が表示されていた。


「……なんかうさんくさいな。でもエスパーか……すけべイベントを拝めるとしたら、この3つの中で一番、俺に似合っているかも?」


 とりあえず職業をエスパーに設定してみた。そうするとスキル欄に透視、透明化、時間停止の3つの能力が追記された。


「くっそ! 俺のことをよくわかってんじゃねえか! いや、男なら誰しもがこの3つの能力を欲しがるに決まってんだろ!」


 すけべイベントに必須のスキルが3つも並ぶ。とりあえず、そのまま『エスパー』を選んでおく。


 しかし、ここでひとつ問題が起きた。職業エスパーの問題点は基礎能力が平均値よりも低い。


 職業欄のタブで他の職業も選んでみた。ざっと見た感じ、各ステータスの平均値は8だ。エスパーだけはそれが4も低い。


 ステータスは腕力・耐久力・器用さ・知力・魅力の5項目で、そこにボーナスポイントを振り分けることになる。


 エスパーで行くことは決定済みだ。ならば、生死に直接関わっているであろう耐久力にボーナスポイントを全部割り当てた。


 その他に2つの項目があった。精神抵抗とお笑い抵抗。こちらは画面上の20面ダイスを振ることで決定される。


 20面ダイスが表示されている小窓を親指でフリックした。こちらの指の動きに合わせて、ダイスが転がっているのが表示された。


 そのダイスの動きを親指で止める。それを2回行う。どちらも1・1のファンブルを叩き出し、マイナス100となった。


「え……こんなことってある!?」


 ファンブルかましたことはこの際、一旦、置いておく。


 キャラクターシートの下に特記事項があり、そこには30文字以内で自由に何かを書き込むことが出来た。


 ここで一旦、視線をスマホから部屋の窓へと移動させる。ニヤリと口の端が自然と歪んだ。どうせ、これはお遊びだ。それに合わせて、遊び心を発揮しなければならない。


「世界の王となる男。ただし王の力は孤独を呼ぶ……と。どうだ、これで!?」



↓如月有人の現在のステータスはこちらとなる↓

--------------------

名前 :アルト・キサラギ

モデル:ヒューマン

Lv  :3

腕力 :4

耐久力:4(+6)

器用さ:4

知力 :4

魅力 :4


スキル:エスパー能力Lv1

    透視Lv1

    透明化Lv1

    時間停止Lv1


耐性系:斬×、突△、打△、熱〇、冷〇、雷×、サイキック◎

精神耐性 :-100

お笑い耐性:ー100


特記事項:世界の王となる男。ただし王の力は孤独を呼ぶ


--------------------



 最後が厨二病くさいがこういうのも悪くない。あとは送信ボタンを押すだけだ。この内容で問題ありませんか? とサイト側から問われたが、問題無しと応答しておく。


 その後、ベッドの上にスマホを放り投げる。こちらは忙しい身なのだ。夕飯前にオナニーを手早く済ませなければならないのだ。


 べっぴん倶楽部、SMマニア、人妻ガールの欲張り3セットでがっつりフィニッシュしなければならない。


 ベッドの頭の方に置かれた目覚まし時計は17時ちょうどを指している。一刻の猶予もない。制服のジャケットを脱いで、椅子の背もたれに引っ掛ける。


 ズボンとパンツをスッと手慣れた感じで脱ぎ捨てる。わっふる! わっふる! と心を浮き立てさせながら、さっそくべっぴん倶楽部のページを開く。


(見せられないよ!)のページを次々とめくる。おっ! と思ったページで手を止める。そして、いひぃん! あっはーん! と気持ちの良い声を上げる。


 これを3度繰り返し、本日のオカズ消費はクリアとなった……。


「気持ち……良すぎだろっ! ふぁ~~~。眠い……パンツを履くのも面倒だ……」


 有人はそのままシーツにくるまり、深い眠りにつく。


 そして、ジリリリ……という目覚まし時計の音に近しい音が耳に届く。有人はだんだんと覚醒する。


「ふぁ~~~。よく寝た。夢の中でも人妻ガールズに囲まれちまったぜ……って、ここどこ!?」


 目を覚ましたばかりだというのに、有人は目を白黒させた。そこは自分の部屋ではなかった……。どこかの教会内にある荘厳なホールを思わせる造りをしていた。


 そこに男女十数名が集まっていた。誰もが中世ヨーロッパの貴族のような服装をしている。


 彼らがひそひそと耳打ちしあっている。如月有人きさらぎ・あるとはひくひくと頬を引きつらせるしかなかった。下半身丸出しで……。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?