目次
ブックマーク
応援する
6
コメント
シェア
通報

4月5日

4月5日


 馬車を買った。


 50円しか持ってなかったので、おじいちゃんの年金を借りた。


 ガマグチを借りる時、若干の抵抗があったけど、現役勇者である私に勝てるはずもなく、2、3発小突いたらおじいちゃんはグッタリしてた。


 お母さんに怒られて殴られた。レベル99なのに痛かった。


 オッサンたちが名乗ってくれたけど、あんまカワイイ名前じゃなかったので、商人はブータロウ、武道家はワニンゴ、魔法使いはカレキって名前をつけてあげた。なにやら不満そうだったけど、半日強引にそう呼んでたら諦めたみたい。


 こうして、魔王を倒す旅に出た。


 モンスターが出てくることを期待したけど、私が強くなりすぎたせいか、ビビってスライム1匹も出てきやしない。


 ワニンゴが見張りがとか言ってたけど、「ピンチになったらなったで面白いじゃん」って言って、全員に馬車に入るよう命じた。


 オッサン2人、ジジイ1人、美少女1人……口臭と加齢臭がハンパないけど、少しクセになりそう。


 私は自宅から持ってきた腐向け本を読むフリをしつつ3人を観察した。


 この中で一番社交的っぽいブータロウが、人のよさそうな笑顔で自己紹介を始める。


 タプタプしている頬のお肉がちょっとカワイイ。


 元は交易商で、少し離れたところに妻子がいて、今は最高の道具屋になるために冒険がしたく、今回の魔王討伐の旅に参加したのもそのためだとか……途中で、木の棒を尻に挿し込んでみたくなった。「アヒィッ!」って言って黙るだろう。見たい。


 続けて、ワニンゴが名乗る。世界一の武道家……以上。それ以外は薄っぺらくて、顔のボツボツの方がインパクトあった。木の棒を挿れたら、あの毛虫みたいな眉毛が下に垂れ下がるのかしら。見たい。


 カレキは気難しい顔をして、元は宮廷魔道士をしていたが高齢を原因にリストラにあって、クビにした雇い人を見返すため、この冒険で一旗上げたいとか……なんか、社会貢献だの、子供たちの未来のためとかそんなセリフもあったけど、ようは復讐したいってことらしい。でも、木の棒を挿れたら黙るだろう。白ヒゲにヨダレがかかるのかしら。見たい。


 まあ、楽しみは後回しだ。


 私にも自己紹介を促されたんで、魔王に性病伝染された話をしたら全員引きっつた顔をしてた。


 うーん、やっぱコイツらも賢さ5だなぁ。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?