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4月10日

4月10日


 BL本のページを開いて、馬車に置いておく。


 「モンスター退治だ」と言えば、戦闘に自信がないブータロウですら棍棒持って飛び出て来る。


 最近では倒したモンスターに向かって「ありがとう!」なんて言う始末だ。礼を言うのは、外に出る許可を出した私にだろとは思うけど。それは、まあいいや。


 倒し終わると渋々と馬車に戻って行く。私はそれを呼び止め、「ちょっと用があるから」とそのうちの2人だけ町に行かせ、残った1人を馬車に戻す。町へ行く方はウキウキで、残った1人はガッカリした様子なのがちょっと面白い。


 最初に被験者は、ワニンゴ。


 私はこっそり馬車の空いた穴から覗き見る。


 ワニンゴは私の秘蔵本を見るや、顔をしかめてページを閉じやがった。これは後でお仕置き確定だな。


 その次は、ブータロウ。


 ブータロウは、「え? これ、マジで…」みたいな顔をして数ページめくった後、「いやー、分からない」とか言いつつ、本を閉じて道具箱にしまった。拒否じゃないから、まあ及第点ってとこかな。


 最後はもちろんカレキ。


 前の2人が何かいらんこと言うかなと思ってたけど、自分が見たものは記憶から早めに消去したかったらしく、その心配はなかった。


 カレキは本に気づいた時、「勇者殿の毎日読まれている本か…ふむ」などと言って手にして、「な、なんじゃ! このハレンチな本は!」とか言いつつ、「ああ…」、「うあ…」とか言いながらページをめくっていた。


 「70年生きてきて、まさかこんな世界があるとは……しかし、年長者の責務として、少し勇者殿にはキツく言わんといかんな」とか言ってページを閉じてたけど、結局は何も言ってこなかった。


 うーん。カレキが最初に“オチ”そうだなぁー。

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