6月22日
やっぱ実家のベッドはよく眠れる。
ロリコには床に布団を敷いてやったけど、朝っぱらから両乳さらけ出して寝やがって、私にケンカでも売ってるのか?
どう寝たらブラがひっくり返って、アイマスクみてぇに目ん玉のとこに来るんだ? わざとやってるだろう、コイツ。
スズメどもがチュン鳴きしてるのを聞いて、カーテンを開く。すると──
「だ、ダメだよ。兄さん…」「いいじゃないか、弟よ」とか向かいの窓際でやってて、兄貴が両袖を引っ張ると、「ああ♡」とか言うて、パジャマの上がはだけてピンクのビーチクが明らかになる。
ロリコがバッと起き上がって(こっちのデカ乳はしまって)、「BLのニオイがするぅ!」とか言って窓辺に走り寄ってきた。
「ゆ、勇者様! お隣は美少年兄弟だったんですかぁ?」とか聞いてきたんで、「幼なじみのジークハルトとリシュアン」と教えたら、「はわわ! 今の今までワニンゴとかブータロウとかカレキとか、イロモノな名前ばっかりだったんで、しっかりBLっぽい感じに感激ですぅ♡」とか意味不明な供述をしている。
「やあ、勇者くん」「元気かい?」とか、向かいのジークハルトとリシュアンが金髪と歯をキラッと輝かせながら言うてくる。
「あおおお! イケメソが! イケメソ兄弟がこっちに向かって手を振ってまふふぅよぉ!」とロリコはテンパってるが、「小さい頃から見てるから、食傷気味だ」と答えたら「なんて贅沢な!」と怒られた。
その間も兄弟はなんかやり出してて、その度にロリコが「壁ドンですよッ!」とか「あごクイですよッ!」とか、格闘漫画の解説役よろしく興奮して説明してくる。
しかし、こんなの私からすればBLには入らない。この兄弟、わざとらしすぎてキライなんだよね。
そう思ってると、下の方でお母さんが怒ってる声が聞こえてきた。どうやら、おじいちゃんは今度は
「ちゃんと散歩も行くし、面倒見るからぁ〜!」とおじいちゃんは必死に説明してるけど、まあ無理だろな。またどっかの町が滅びるのか。
そして、これでお母さんの機嫌はすこぶる悪くなるだろうから、今日はもう正統派ヒロインの件は聞けないな。