6月23日
今日、ジークハルトとリシュアンがなぜか遊びに来ていた。
「幼なじみなのに何も言わずに冒険に出ちゃうからさ」とか、「心配したんだよ」とか言うてるが、リシュアンははだけた胸を先になんとかしろ。今日も脱がされたんかい。
お母さんが「こんなにイケメソが近くに住んでるのに、恋話エピソードのひとつもないんだから、この子は」とか言うて、ロリコが「もっないオバケが出ますよ!」と怒り出し、おじいちゃんがビクッと肩を震わせる。
おじいちゃんの反応を見たお母さんが、「おじいちゃん。まさか今日も……」と般若の顔で尋ねると、「違うもん!
うーん。困ったぞ。今日も正統派ヒロインの話ができない。おじいちゃんのせいで。
私が愚痴を言うと、馬鹿兄弟が「「正統派ヒロインになるには、転職すればいいじゃなーい!」」とか、鬱陶しい某転職エージェント系CMみたいなことを言い出す。
クソうざい耽美ポージングに我慢しながら話を聞いてると、どうやら“ダーマス御殿”って役所みたいなところで職業を変えられるらしい。
ジークハルトが「そこで僕はMからSに!」、リシュアンは「そこで僕はSからMに!」とか言うてるが、お前らは磁石なのか。性癖まで変えて貰えるのか。
ロリコが「あ! 私もそこで賢者検定受けましたぁ! そういえば、職業欄に“正統派ヒロイン”もあったような〜」とか言い出す。さっさとそれを言えや。乳の方に栄養行き過ぎて、脳の方に足りてねぇのか。この役立たずが。
まあ、とりあえず行ってみるしかないか。お使い風なイベントは乗り気がしないけど。ブータロウのためだ。
ロリコが「そういえば、勇者様はこの耽美兄弟にはビンタしないんですね?」とか聞いてきたが、私をすぐに大暴れする猛獣か何かと勘違いしてるのか?
「どんなにムカつくヤツでも、BLを肯定する要素に関しては私は寛容だ」と教えた。
そんなこんなしてるうちに、鎖が切れて解き放たれたデュラハンが地下室から躍り出て、耽美兄弟に襲いかかってボッコボコにし始めていた。
まあ、お母さんが生きかえらせるから問題ないだろう。
うーん。それにしても、ひどい顔になったな。イケメソの顔もグチャグチャになったらおしまいだな。