7月4日(代筆)
拝啓 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
私めは元宮廷魔術師、現勇者パーティの魔法使いを務めているカレキと申します。本日は勇者殿に命じられ、代わりに日記をしたためている次第……と、「前置きなんていらねぇ! それだけで終わるだろうが!」とお叱りを受けたので、先に進ませて頂きます。
さて、勇者殿と言えばアー●ジェットとキ●チョールというダブル殺虫剤持ちで、自分を刺した蚊を追いかけております。
そして私らと言えば、ワニンゴめを筆頭にして、ベニテング・武子と戦っているわけですが、アナルゴとフグリ田に至っては敵に寝返り、ハチマキとサイリウムを持って「タケコ! アイ・ラブ・タケコ!」というヲタ芸と呼ばれるダンスを披露している次第。
私めの攻撃魔法と、ロリコの回復魔法で何とかその場を持たせているわけですが、なにせワニンゴは強烈な呪いがかかっていて、30秒ごとにホームシックとなり「マンマー!」と叫んで幼児退行する始末。
ああ、こんな時に、あの男が──
そう。あのグレートでパーフェクトで、エクスペンシィヴでベリーナイスな色男──
そう。ブータロウ。
私めが恋焦がれて致し方のない、かの男が復活さえすれば、あんなパラボラアンテナ付きのブス女ごときは敵ではございません。
そもそも、あのパラボラアンテナはなんなんでしょう? ウケを狙ってやってるのか、それとも私たちに併せて3基が別々に動いてることから、何かの情報をキャッチしているとでも言うのでしょうか。
こんな魔王軍だかなんだか存じませんが、得体のしれない専業主婦の相手なんてまっぴらです。
私めは、はやくブータロウを復活させてやりたい!
そのふくよかな懐に抱きついて、あのワガママでムチムチなドスケベボディを心行くまで堪能したい!
しかし、今の彼は、魅力的なタップリの贅肉を失い、骨だけという憐れな姿になっておるのです!
ですが困ったことに、このベニテング・武子はかなり強いので……
私の魔力も枯渇し始め、ロリコも魔力を失い、この家のペットである猫が変身し、エロ触手を伸ばして四肢を取られ、服を脱がされようとしている次第。
勇者殿は……ダメです。バ●サンの準備をしておられます。
やられることを覚悟し、私はブータロウの棺にしがみつき、せめて最期にその顔を一目でもと思い──
「ブータロウ。すまん。ワシが不甲斐ないばかりに……」と、私の一筋の涙が棺の中に零れ落ちて──
敬具