「 お昼の時間です!準備してお昼ご飯にしましょう! 」
動物園の時間が終わり、お昼ご飯の時間が始まった。
「 陸ー!一緒にお昼ご飯食べよー! 」
「 たくさん走ったからお腹が空いたね。 」
「 夏木のせいで走ってたみたいなもんだけどねー。 」
「 あれは仕方がないだろ! 」
「 ほら二人共、言い合ってないで準備して。 」
「「 はーい。 」」
「 レジャーシート繋げようぜ! 」
「 お弁当楽しみだなー。 」
準備後
「 なあなあ、お弁当みーせーてー! 」
「 うわあ、美味しそうだね! 」
俺のお弁当はハンバーグ入りの洋食弁当
夏木くんのお弁当はおにぎり入りの和食弁当。優志のお弁当はサンドウィッチ入りのお弁当。
「 交換しよー! 」
「 じゃあ俺のタコさんウインナーと交換しよ。 」
「 わーいやったあー。じゃあ俺のもあげるー。 」
「 俺も欲しい! 」
ワイワイと交換を楽しみながらお弁当を楽しむ。
「 いただきっ、パクっ。 」
「 ああー!大事にとっておいた俺のハンバーグが! 」
俺が食べようとしていたハンバーグを夏木くんは素早く取り口に入れた。
「 夏木くん!びっくりしたじゃん!」
「 ごめんごめん、はい唐揚げあげる。 」
「 まさか陸と交換したいからハンバーグ奪ったんじゃー? 」
「 優志は黙ってて。 」
「 夏木くん、ハンバーグ食べたかったの?まあ唐揚げくれるなら許してあげてもいいけどね。じゃあいただくよ。 」
そう言って俺は夏木くんのお弁当に入っている唐揚げに箸を伸ばす
ヒョイ
「 ……?夏木くん? 」
夏木くんが急にお弁当を引く。俺の箸は空振り空を切る。そして夏木くんは唐揚げを自分の箸で掴み。
「 はい、あーん。 」
夏木くんは唐揚げを俺の口に近ずける。
「 えっ。 」
「 ほれほれ、あーん。 」
「 はぁ、あーむ。 」
俺は仕方なくあーんを受け入れた。その間優志はくくくっと笑っていた。何笑ってんだって言ってやりたかったが唐揚げを食べていたので口をもぐもぐさせながら我慢した。
夏木くんは食べるのが早く、1番に食べ終わっていた。
「 俺ちょっとトイレに行ってくる。 」
「 行ってらー。 」
夏木くんが席をはずしてから、すぐに誰かが近くに来た。
「 あんたたちが雨月陸と田村優志ね。ちょっと話があるんだけど。 」
三人の女の子が俺たちを囲む。
「 えっと、確か鈴木さんと佐藤さんと山田さんだったかな、俺たちに何か用かな? 」
「 えっ名前覚えててくれてる。惑わされてはダメよ私たちはあの方一筋なんだから! 」
なんかヒソヒソと話してるけどなんだろう。
「 えっと、それで要件は……。 」
「 あっと失礼。お二方には言っておきたいことがあるのです、調子に乗らないで欲しいのです。あなた達は夏木様の引き立て役なのよ!あなた達は凡人なの!それに顔もそれほどって感じですしね。 」
「 えっ夏木くん? 」
「 俺たちは友達だよー? 」
真ん中にいる女の子が俺をビシッと指さして
「 特にあんた、雨月陸!彼氏にしたいランキング一位だからって夏木様より上だと思わない事ね! 」
「 えっ何それ知らない。 」
知らない単語が出てきて困惑していると
「 二人共ー!お待たせ〜。 」
夏木くんがトイレから戻ってきた。それを見た女の子たちは慌てて
「 そっそれでは私たちはこれで、ちゃんと身の程をわきまえるのですよ! 」
そう言って素早く走っていった。
「 あの人たちは誰なんだ?どうしてここに? 」
「 なんか、話しただけだったよ。 」
「 俺もよくわかんなーい。 」
「 そうか?まあいいか。 」
身の程をわきわえろ……か、まあ俺は鈍感系じゃないからわかるぞ。まああれだろ、夏木くんと仲良いからな、夏木くんをあなた達と一緒にしないでっ的な感じだろ。でも鈍感系主人公だと気づかないだろあれ。でも俺たちはちゃんと友達だからな!引き立て役なんかじゃねぇよ!!それになんだよ!顔がそれほどって!あの超絶イケメンの空と海の息子だそ!顔がそれほどなはずないじゃないか!そこは訂正してもらいたい。俺は残りのご飯を全部口に詰めてパンパンになった口をもぐもぐと動かす。
お昼が終わって、残りの時間を話したり遊んだりして、帰る時間になった。
遠足はもう終わり。ハプニングもあったけど、あー楽しかった!
遠くの方で
「 あの人は! 」
この前屋上で出会った王子様!まさか攻略対象の夏木様とお友達だったなんて!
「 やっぱりかっこいい〜♡ 」
友達といる時の彼は私と出会った時とは違う雰囲気で無邪気な男の子って感じがする。
「 桃花〜?何見てるの〜? 」
「 ねえ!!あの人の名前は!教えて!お願い!! 」
私は友達の肩を掴み揺さぶる。
「 落ち着いて、桃花知らないの?あの人たち超有名だよ。 右にいる人が青葉夏木くん、左にいる人が田村優志くん、真ん中にいる人が雨月陸くんだよ。ちなみに私の推しは田村優志くんでーす! 」
「 雨月陸くん……。 」
覚えている。その名前は季節風の主人公雨月風太くんのお兄さん、顔も声も出てこないモブ兄、雨月陸くん。
嘘……、あのモブ兄がこんなにイケメンだったなんて、知らなかった。鍵キャラなのにほとんど出てこないけど、どうしてもっと登場させなかったんだろう。
「 そうだったんだ……。あの人が……。 」
「 あれっ?なんか囲まれてる。 」
夏木様がどこかに行ったら、待っていたかのように女の子たちが二人を囲んだ。
「 何か話してるみたいだね。 」
私にはわかる、あれは定番のいじめっ子だ。陸さんが困った顔をしているからきっと嫌なことを言われているに違いないい!
助けに行かないと!駆け出そうとすると夏木様が戻ってきて女の子たちは離れていった。陸さんは夏木様と少し話したあと、やけ食いみたいにご飯をたくさん口に入れて頬っぺを大きくしてもぐもぐと食べていた。
「 ふふっ、可愛い。 」
私は小さく独り言を呟いた。