「 陸、忘れ物はない?大丈夫? 」
「 大丈夫だよ。ちゃんと確認したし、お父さんにも確認してもらったよ。 」
「 そう?それならいいけど、気をつけて行ってきてね、遠足は帰るまでが遠足だからね! 」
「 わかった!もう時間だから、行ってきまーす! 」
「 いってらっしゃーい 」
家を出る。今日は遠足だ!お弁当を持ってウキウキしながら学校へ向かう。
「 りぃーくぅー。 」
「 優志!おはよう。 」
「 おはよぉー、りくぅー。 」
「 なんだか今日は眠そうだね。 」
「 いつも通りだよー。 」
「 それもそっか、優志は朝弱いもんね。 」
「 陸!優志!おはよううう! 」
後ろから夏木くんが駆け寄ってきて、俺と優志の肩に腕を乗せて後ろから抱き着いた。
「 おはよー。なつきぃー。 」
「 おはよう、夏木くん。なんだか上機嫌だね、何かあったの? 」
「 やっぱり、遠足はウキウキするもんだからな!行く場所は動物園だけど、楽しみなこともたくさんあるしな! 」
「 楽しみなこと?それってどんなこと? 」
「 枕投げ!1回友達とやってみたかったんだ! 」
「 日帰りだよ。今日。 」
「「 ……………。 」」
「 ぶえっ。 」
「 えっ? 」
「 あああああ!優志! 」
気がついたら、優志が溝にピッタリハマっていた。
「 大丈夫!?優志!なんでこんな事に……。 」
「 ハマったー……。 」
「 軽く言うな!今助けるから、ほらっ、手掴んで。 」
救出
「 ありがとおー、二人とも。 」
「 今日はいつも以上に眠そうだな。目を離したらだめだな。ほら、しっかり歩いて!あともうちょっとだから。 」
学校に着いた。
「 みんな揃いましたね。それでは遠足に出発します!時間管理をしっかりして交流を深めましょう。 」
「 はーい 」
列に並んでバスに乗る。しばらくゆらゆらと乗っていたら、
「 うっぷ、気持ち悪い……。 」
優志が酔っていた。
「 大丈夫か?優志、酔い止め持ってる? 」
「 う……、一応持ってる……。うっぷ。 」
「 ああ!ここで吐かないで!ちょっとカバン漁るよ、なんで事前に飲んでおかなかったの! 」
「 わ……、忘れでた……。 」
「 もー、次からはしっかり飲めよー。はい、これ酔い止めとお茶、飲んだら時期に効いてくるから。 」
「 ありがとうー……、ママン 」
「 誰がママだ! 」
「 陸って、しっかりしてるよなー。やっぱり弟がいるからなのか? 」
「 んー、どうだろ、元々こんな性格だったと思うけど。 」
動物園到着
「 つっついに来てしまったぞ、動物園……。あばばばば。 」
「 落ち着いて、大丈夫だよ。ねぇ、夏木くんはどうして、動物が苦手なの? 」
「 実は、幼い頃動物園に行ったんだがな。会う動物全てに頭から食われそうになったんだ。肉食とか草食とか関係なく会う動物全てに食われそうになるんだぞ!怖くて怖くて、仕方がない。今日だって食われるかもしれないという恐怖と戦っているんだ! 」
「 そんなことが、そりゃ動物嫌いになるわな。 」
知らなかった。そんなことがあったなんて、ゲームではそんなこと出てこなかった。やっぱりここはゲームの世界じゃなくて現実なんだな、あんまし実感わかないけど、俺はいまだにこの世界をゲームだと思っている。でもゲームだと怪我をすることもあまりない、主人公だと危険なめにあってもなんとかなる。まぁ、俺は主人公じゃないけどね。ん?主人公は危険なめにあう?てことは風太……。ゲームでも風太は……。
「 陸ー?どうしたー?考え事ー? 」
「 えっ、あぁごめん。考え事してた。それより、夏木くんは大丈夫? 」
考え事をしていたら、いつの間にか動物園の中に入っていた。
「 俺は大丈夫だ。 」
「 かっこよく言ってるふうに言ってるけど、めっちゃ声裏返ってるからな。 」
「 別に、なんともないし。 」
まぁ、気にしないでおこう。
「 おおー!これはすごい✨ 」
小さい動物園だと聞いていたのに、思ってたよりたくさんの様々な動物がいる。
「 ピャイ 」
隣で夏木くんが変な声を出しているけど気にしない気にしない。
「 触れ合い体験とか餌やり体験とかあるし、さすがゲームの世界。 」
「 ゲーム? 」
「 なんでもない気にしないで。 」
ゲームのことを考えていたから、つい口走ってしまった。
「 それにしてもすごいな、色々気になるな。 」
「 俺はここで待ってるよ。二人で行ってきて。 」
「 そう?それじゃあ行こっか、優志。 」
「 行こう!行こうー! 」
この動物園普通のお客さんも来てるけど大丈夫かな?この動物園のお客さん、女子高生が多いけど大丈夫かな?そう思ってると向こうから夏木くんが走ってきた。
「 待ってー!俺も行くよおお! 」
女子高生をたくさん後ろに連れて、読めたぞ、多分俺たちが離れた後、たくさんの女子高生に誘われてどうしようもなくなって、俺たちを追ってきたんだな。それで逃げた夏木くんを追いかけて女子高生も来たと。
「 なあ優志、これってまずくない?逃げた方がいいかな? 」
「 そうだなー、このままだと巻き込まれるな、陸は確実に狙われるな。 」
「 よし逃げよう。 」
「 おい!なんで逃げるんだ! 」
「 自分で考えろ!」
それから夏木くんを追いかける女子高生→俺たちを追いかける夏木くん→逃げる俺たち、という構図になっていた。
「 見てー!あの子もイケメンじゃない?! 」
「 ほんとだ!よしあの子もナンパしよう! 」
「 うわあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!やだあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"。 」
道行くおねいさんも加わってとんでもないことになった。おねいさんたちのギラギラした視線が俺に向けられて、視線と人が苦手な俺は涙目になりながら、叫ぶ。だがその叫び声もおねいさん達には聞こえていなくて、ただただ隣で一緒に走っていた優志が耳を塞いだ。
おねいさん達を撒くのに苦労して残り時間が少なくなり、
「 急いで動物園で遊ぶぞ! 」
それからと言うもの、おねいさんに出会わないように動物園を楽しんだ。夏木くんは出会う動物全てに頭から食べられそうになっていた。初めはびっくりしていたけど。
「 おい!俺を助けろ!二人共! 」
「 はいはい、がんばれがんばれ」
「 応援するな!なんで!初めは助けてくれただろ! 」
「 いやぁね、だって夏木くん助ける間もなく普通に対処できてるじゃん、それに、毎回こうだとどうも慣れちゃうんだよね。 」
まあ後々こんな感じになってた。慣れって怖いね。
遠足はまだまだ続く!