そして順調な交際が続き、遂に結婚の話が現実のものになった。
交際3年目、ふたりは籍を入れ新しい家族としての生活を始めたのだ。
最初のうちはそれだけで十分だった。
何気ない日常にたくさんの幸せを感じる毎日。
2人で起きて、寝る時も2人で眠りにつく。
それが本当に心からの幸せだった。
けれど――いつしかユキナの中で「子どもが欲しい」という気持ちが膨れ上がっていった。
そして話し合いを重ね、妊活をすることに決めた。
だけど話し合いから数ヶ月が経ってもなかなか妊娠の兆候が見られない。
ふたりで病院に行き検査を受けると医師の口から静かに伝えられた。
「奥様は妊娠しづらい体質のようです。
いわゆる不妊症という診断になります」
レンは目の前が真っ白になるような感覚を覚えた。
隣を見るとユキナは固まったまま、
何も言わなかった。
だがその日を境に、ユキナは少しずつ変わっていった。