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第35話 お台場ダンジョンの波音


「リオンのダンジョン配信、東京特別編、四日目! チーム『スターライト』、お台場ダンジョンで実地調査だよ!」

「みんな、今日も頑張っていきましょう」

「お兄ちゃん、私もポーターぐいぐい、行っちゃうよ!」

「海洋ダンジョンってことで、どんなモンスターが出てくるかドキドキ! 視聴者のみんな、応援よろしくね!」


 ドローンが東京湾に面したお台場ダンジョンの入り口を映す。

 波の音が響く人工島の地下に広がる洞窟は、海水が流れ込み、ヒカリゴケが青緑に輝く湿った空間だ。

 僕リオン、ミリア、マナミはマジック・バッグを担ぎ、いつものミスリウム合金製のブレストプレートに身を包む。これは防水性でもあって海水も大丈夫だ。

 視聴者コメントがメガネ型端末に流れ込む。

『スターライト、お台場キター!』

『リオンちゃん、濡れても可愛い!』

『ミリアちゃん、魔法剣見せて!』


 ミリアが純魔銀のミスリウム・ソードを腰に下げ、海風に髪をなびかせる。

 彼女の目は、兄、直樹の死の真相を追い求める決意で燃えている。


「リオンさん、お台場の海洋ダンジョン、兄も調査したことあるって聞いてます。魔力結晶の噂、絶対手がかり見つけたい!」

「うん、ミリアちゃん。新宿ダンジョンで聞いたTS病と魔力結晶の話、ここでも繋がるかも。マナミ、ポーションと素材回収、準備OK?」

「お兄ちゃん、完璧! ポーションもおにぎりもバッグにガッツリ! ポーターとして、素材も情報もバッチリ集めるよ!」


 マナミがマジック・バッグを叩いてニヤリと笑う。

 冒険者ギルドお台場支部の建物の前のテントで、受付の猫耳獣人女性が地図を広げる。


「スターライト、調査任務ね。一階の浅瀬エリアで魔力結晶のサンプル採取とモンスター素材の回収をお願い。海洋ダンジョンは水棲モンスターが多いから、気をつけて!」


 僕がドローンを操作し、配信を続ける。


「視聴者のみんな、お台場ダンジョンはレベルBの中型ダンジョン! 海のモンスターと戦いつつ、TS病の真相に迫るよ! 行くぜ!」


 スターライトは浅瀬エリアへ進む。

 足首まで海水が浸かる岩場に、ヒカリゴケが怪しく光る。

 突然、水面が波立ち、新たなモンスターが姿を現す。

 体長一メートルのエビ型モンスターで、青白い殻に赤いハサミが鋭く輝く――クリムゾン・シュリンプだ。


「うわっ、でかいエビ! クリムゾン・シュリンプ、初遭遇! みんな、気をつけて!」


 僕がミスリウム合金製のショートソードを構える。

 クリムゾン・シュリンプがハサミを振り上げ、水流を刃のように飛ばす。

 ミリアがミスリウム・ソードにファイアボルトを纏わせ、魔法剣で水刃を弾く。


「リオンさん、私が引きつける! ファイアボルト、くらえ!」

「ミリアちゃん、ナイス! ポーターの火炎瓶でトドメだよ!」


 炎の剣がシュリンプの殻を焦がす。マナミがマジック・バッグから火炎瓶を取り出し、投擲。

 火炎瓶が炸裂し、クリムゾン・シュリンプが倒れる。視聴者コメントが盛り上がる。


『スターライト、連携やばい!』

『ミリアちゃんの魔法剣、かっこいい!』

『マナミちゃん、火炎瓶MVP!』


 戦利品の赤いハサミをマジック・バッグに詰め、スターライトは奥へ進む。

 そこへ、サキのブルーファングが合流。

 サキのレッド・メタルのダガーが海水に濡れて光る。


「リオン、ミリア、スターライト、いい感じじゃん! ブルーファングも魔力結晶のサンプル探しに来たよ。マギテックの買い取りリスト、怪しい結晶が載ってた」

「サキさん、兄の死と魔力結晶、絶対関係ありますよね。一緒にサンプル見つけましょう!」


 ミリアが拳を握る。

 浅瀬の奥で、二体目の水棲モンスターが現れる。

 二メートルのタコ型モンスターで、紫の吸盤が魔力を帯びて光る――マジック・オクトパスだ。

 触手が水面を叩き、魔力波の渦を巻き起こす。


「マジック・オクトパス! サキさん、共闘だ!」


 リオンとサキが左右から剣とダガーで斬りかかる。

 ミリアがファイアボルトを放ち、触手を焼き切る。

 マナミがポーションを仲間に投げ渡し、サポート。


「お兄ちゃん、ミリアちゃん、サキさん、ポーションで回復して! ポーター、全力応援!」


 マジック・オクトパスの魔力波がリオンのマジック・バリアを削るが、スターライトとブルーファングの連携で撃破。

 触手の吸盤を回収し、視聴者数が二万四千人に急上昇。


『スターライト&ブルーファング、共闘キター!』

『マジック・オクトパス、めっちゃ強そう!』

「リオン、マギテックがこのエリアの魔力結晶を重点的に集めてる。TS病の実験、絶対ここでやってるよ」


 サキが息を整え、リオンに言う。

 調査を続けると、岩壁に埋まった魔力結晶を発見。マナミがハンマーで叩き、採取する。


「お兄ちゃん、ミリアちゃん、これが噂の結晶! ポーターの力、見せたよ!」

『スターライト、証拠ゲット!』


 ドローンが結晶をアップで映す。だが、水面が再び波立ち、三体目のモンスターが現れる。

 三メートルの巨大なクラゲ型モンスターで、透明な体に電撃を帯びた触手が揺れる――サンダー・ジェリーフィッシュだ。


「サンダー・ジェリーフィッシュ! 電撃攻撃、気をつけて!」


 サンダー・ジェリーフィッシュが触手を振り、雷撃を放つ。

 僕がマジック・バリアで防ぎ、ミリアが新スキル「サンダーボルト」を発動。

 雷魔法がクラゲの触手を焼き、動きを止める。

 自身も雷魔法を使うのに、雷に弱いとは、なかなか不思議な生態だ。


「ミリアちゃん、サンダーボルト最高! サキさん、トドメお願い!」


 サキのレッド・メタルダガーに雷魔法を纏わせ、クラゲの核を突き刺す。

 サンダー・ジェリーフィッシュが崩れ、電撃触手を戦利品として回収した。

 視聴者コメントが加速する。


『ミリアちゃんのサンダーボルト、ヤバい!』

『スターライト、ブルーファング、最強!』

「みんな、魔力結晶ゲット! TS病の真相、めっちゃ近づいたよ! スターライトとブルーファング、次もガンガンいくから、応援よろしく!」


 僕がカメラに向かって叫ぶ。

 調査を終え、ギルド前の臨時テントに戻る。


「お兄ちゃん、ミリアちゃん、サキさん、今日も大勝利! ポーターの素材回収、完璧だったね!」

「兄の想い、この結晶に隠れてる気がする。私、絶対真相暴くよ!」


 マナミが結晶をマジック・バッグにしまい、笑う。

 ミリアがミスリウム・ソードを握り、頷く。


 配信を締め、スターライトとブルーファングは次の計画を立てる。

 お台場ダンジョンの波音が、真相への一歩を刻む。


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