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第38話 秋葉原の装備強化


 翌朝、スターライトは秋葉原の喧騒に足を踏み入れる。

 元電気街のネオンが輝き、モンスター素材を使った魔道具や装備を扱う専門店が軒を連ねる。

 昔はパソコンショップが多く並んでいたが、今の最先端は魔道具などであった。

 秋葉原は今も、世界の最先端で商売をしている。

 伝統的な店も残っており、新旧織り交ぜのビル街は独特の雰囲気に包まれていた。

 僕リオン、ミリア、マナミは向崎からもらったギルド特別割引券を手に、装備強化を目指す。

 今日もオフレコのため、配信はない。純粋に仲間との時間を楽しむ一日だ。


「リオンさん、秋葉原ってすごい! ダンジョン装備の店、めっちゃ多い!」


 ミリアが目を輝かせ、ショーウィンドウに並ぶミスリウム製の武器を眺める。

 こちらには「展示品限り、特価!マジック・バッグ」とポップが目立つ。

 マナミがマジック・バッグを肩にかけ、ウキウキと歩く。


「お兄ちゃん、割引券でアダマンタイト装備ゲットしよう! ポーターも新しいバッグ欲しい!」


 僕が笑いながら地図を確認する。


「マナミ、落ち着いて! 向崎さんが推薦してくれた店、『マジシャンズ・アームズ』に行くよ。保守派御用達の老舗だって。向崎さんがゴールド級の頃、よく使ってた店らしいよ」


 三人は人混みをかき分け、路地裏にある重厚な扉の店へ。店内は魔鉄やアダマンタイトの装備が並び、ダンジョン産の鉱石が照明に輝く。店主のエルフ男性が、尖った耳をピクッと動かして迎える。


「スターライトか。向崎からの紹介だな。特別割引券を見せろ。いい装備を揃えてやる」


 僕が割引券を渡す。店主が目を通し、頷く。


「向崎深夜、静岡の日本平ダンジョン出身のレジェンドだ。クリスタル・フェニックスを倒した男が認めたお前たちなら、いい装備を任せられる。新宿とお台場で魔力結晶を集めたんだろ! 奥の在庫を見せてやる」


 店主が奥の倉庫へ案内する。そこにはアダマンタイトの軽鎧、ミスリウムの強化剣、魔力増幅のアクセサリーが並ぶ。僕が目を輝かせる。


「これ、アダマンタイトの軽鎧! 防水加工もされてて、お台場ダンジョンにピッタリ!」

「この剣、兄のミスリウム・ソードと同じシリーズ……。でも、魔力伝導率が上がってる、最新の改良型だ!」


 ミリアがミスリウムの強化剣を手に取り、軽く振る。いわゆる、最上位グレード品であった。

 マナミがマジック・バッグの強化版を見つける。


「お兄ちゃん、コレ! 容量が二倍のマジック・バッグ! ポーションも結晶もガンガン詰められる!」

「目がいいな。向崎の割引券なら、軽鎧と剣で三割引、バッグは二割引だ。TS病の真相を追うなら、これくらいの装備が必要だろ。向崎も昔、こんな装備でダンジョンを駆け抜けたんだ」


 店主が笑う。僕が拳を握る。


「ありがとう、お兄さん! この装備で、マギテックの闇をぶち破るよ!」


 購入手続きを終え、三人は新しい装備を手に店を出る。

 アダマンタイトの軽鎧は、なんとリオン達のサイズに合うものが置いてあった。

 リオンの体にフィットし、ミリアの強化剣は手に馴染む。

 マナミの新マジック・バッグは、ポーションや火炎瓶を効率的に収納できる。

 秋葉原の街を歩きながら、ミリアが呟く。


「兄が生きてたら、この装備見て喜んだかな……。リオンさん、マナミちゃん、向崎さんの話、めっちゃ心強かったです」

「ミリアちゃん、斎木さんの想いは私たちが継ぐよ。向崎さんが日本平でレジェンドになったように、私たちもスターライトで伝説作る! 静岡に戻ったら、麻機沼の討伐調査、ガンガンいくから!」


 僕がミリアの肩を叩く。マナミがアイスを舐めながら笑う。


「お兄ちゃん、ミリアちゃん、ポーターの新バッグ、最強! 次の冒険、めっちゃ楽しみ!」


 秋葉原のネオンが三人の背中を照らす。

 向崎のレジェンドとしての逸話と新たな装備を胸に、スターライトは静岡への帰路につく。

 マギテックの闇とTS病の真相を暴く戦いは、次なる舞台へと進む。


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