静岡市街地の賑やかな通り、青空が広がる十二月の日曜。
商店街のアーケードには、色とりどりの看板が並び、家族連れやカップルで賑わっている。
どこからともなくクリスマスソングが流れてきて、年末を彩った。
「お兄ちゃん、今日はダンジョンなしの完全休日! やったー!」
マナミがアーケードの入口で両手を広げ、元気いっぱいに叫ぶ。
オレンジの髪をハーフアップにし、フリルのついたピンクのブラウスとコート、ショートパンツが彼女の活発さを引き立てる。それにしても冬なのにその生足で寒くないのか、心配ではある。
「マナミ、めっちゃテンション高いね! でも、ほんと久々のオフだな。さて、何しようか?」
僕はシルバーホワイトの髪を風になびかせ、シンプルなシャツとコートとデニムのパンツ姿で笑う。
スカイブルーの瞳には、冒険者としての鋭さとは異なる、穏やかな光が宿る。
僕とマナミは私服で歩き、姉妹のような雰囲気を漂わせる。
今日は配信なしのオフレコ休日。プライベートな時間を満喫する一日だ。
「ポーターの私、街でも全力で楽しむよ! まず何する? 買い物? ご飯? それともスライムグッズ探し?」
「マナミ、いつもそんな元気どこから湧いてくるの! うーん、買い物でもしようかな。TS病で女の子になってから、服選びが……なんかまだ慣れなくて、めっちゃ恥ずかしいんだけどさ!」
二人はアーケードのブティックへ向かう。
ショーウィンドウには、すでに春物らしいミニスカートやワンピースが並び、色とりどりのアクセサリーがキラキラ輝く。
リオンがスカイブルーのミニスカートをチラッと見て、頬を赤らめる。
「お兄ちゃん、そのミニスカート、絶対似合う! シルバー級の冒険者なんだから、街でも輝かなきゃ! ほら、試着してみて!」
「マナミ、簡単に言うけど……! うぅ、こんな短いの、脚丸見えじゃん! でも……試着だけなら、いいかな……!」
店員の若い女性がニコニコしながら近づき「お姉さん、絶対可愛く着こなせますよ!」と後押し。
リオンはスカイブルーのミニスカートと、シンプルな白いトップスを手に試着室へ。
マナミは外でニヤニヤしながら、試着室のカーテンをチラチラ覗く。
カーテンが開き、僕が恥ずかしそうに登場。
スカートの裾を気にしながら、鏡の前でくるっと回る。
「ど、どうかな……? なんか、脚がスースーして落ち着かないんだけど! こんなの、街で歩けるかな……!」
「お兄ちゃん、めっちゃ可愛い! シルバー級の輝き、そのまま! ポーターの私、自信持って買い認定!」
マナミが手を叩いて大はしゃぎ。すっかりポーターが板についてる。
僕は頬を膨らませつつ、鏡で自分の姿をもう一度確認。
店員が「TS病の方、最近増えてます! 自分らしいスタイル、楽しんでくださいね!」と笑顔で励ます。
僕は決心し、レジでミニスカートを購入。
店内に設置された鏡に映る僕の紙袋を手に持つ姿は、どこか誇らしげだった。
「よし、次はカフェ! スライムゼリー入りのカフェオレ、絶対飲みたい! ポーターの胃袋、準備OK!」
二人は商店街の人気カフェ「スライム・ハウス」へ。
木目調の店内には、スライムの形をしたクッションが並び、壁にはダンジョン風の装飾が施されている。
カウンターには、ダンジョン産の素材を使ったスイーツやドリンクのメニューがずらり。
リオンとマナミは窓際の席に座り、スライムゼリー入りカフェオレと、クリムゾン・シュリンプの粉を使ったモンスター柄のドーナツを注文。
「お兄ちゃん、このカフェオレ、ゼリーがプルプル! ポーターの胃袋、癒される~!」
「マナミ、ほんと食い意地すごいね! でも、このドーナツ、クリムゾン・シュリンプの粉使ってるんだって。サクサクで美味い!」
二人はカフェオレをすすり、ドーナツを頬張る。リオンのスカイブルーの瞳が柔らかく輝き、窓の外を行き交う人々を眺める。
「マナミ、最近、冒険ばっかだったから、こうやって二人で過ごすの、なんか新鮮だね」
「お兄ちゃん、シルバー級、めっちゃカッコよかったよ! でも、今日は休日! 次の冒険のために、充電だ!」
マナミがドーナツをもう一つ注文し、僕が笑う。
カフェを後にし、二人は大型書店「マオマオ・ライブラリー」へ。
店内の一角には、冒険者向けコーナーが設けられ、専門書やダンジョン攻略ガイドがずらりと並ぶ。
僕の目が、武器特集の雑誌に止まる。
「お、マナミ、これ! 『最新ミスリウム武器カタログ』! ミリアちゃんの剣のメンテナンスに役立つかも!」
「お兄ちゃん、さすがシルバー級! 素材の保管方法のコーナー見てくる!」
リオンは雑誌を手に、ミスリウムの強化法や新モデルを熱心にチェック。
マナミは素材管理のガイドブックをパラパラめくり、メモを取る。二人は本を数冊買い、満足げに本屋を後に。
「お兄ちゃん、ミニスカート、カフェオレ、本屋、最高の休日! ポーターの私、街でも大活躍!」
「マナミ、ほんと楽しかった! 次は冬の冒険者祭り、ガンガンいくよ!」
夕暮れの静岡市街地を歩きながら、僕がマナミと手をつないで笑う。
マナミがスライムゼリーのキーホルダーを振り、ニコニコ。
買ったものはすべて、マジック・バッグに入れて持ち歩いていた。
二人の絆は、ダンジョン以外の日常でも輝く。アフレコの声で、リオンが締める。
「スターライトの休日、楽しかったぜ! 冬の祭りで、また熱い冒険を!」
静岡の街並みが、スターライトの新たな一歩を優しく照らす。