「セピア、私達の部隊は
上位天使である
私は直ぐに敬礼すると元気良く返答した。
「了解しました! 残念ですが命令となれば仕方ありませんね……でもどちらへ?」
現在の私の任務は
そのための部隊に所属している一介の天使だ。
本当なら絶対なる
何しろ私は他ならぬ
それを勅令で救出部隊を出して助けてくれたのが
更には偉大なる祝福のお陰で天使としての存在を保つ事ができたのだ。
まさに
忠義を
「
現在も尚、日々、天使と
「もちろん、
「はっ!! 私、セピアは
クリムソン様が強いのは承知しているけれど、もし敵に
まぁ転属されるのは私達の部隊だけではないとは思うけれど。
余計な心配かなぁ?
「噂では大物を持つ人間がいるらしいぞ。散逸は何としても避けなければならないだろう」
「護衛する必要がありますね……」
人間は
天使と
とは言っても奴らも
「まぁ本来ならば警戒するのは
「バグですか……? あれが人間を襲うと?」
バグとは特異生命体の事で宇宙の至る所でその存在が確認されているが、その数は少ない。
それに特に人間を襲う理由が見当たらないのだが……。
「ああ、セピアは知っているか? 人間の体内にできる
「
「うむ。人間の心臓が何らかの影響で漆黒化しているらしい」
不思議な事もあるものだ。
そもそも人間は偉大なる
その寵愛を一身に受けているはずなのに何故なのだろう?
「それが?」
「想像の通りだ。バグはその
厄介な話。
でもバグ殲滅部隊もいるようだから
「なるほど。敵は
「本来ならば人間などどうなろうと構わないのだが、
バーミリオン様は人間に対していつも辛辣だ。
単に興味がないだけなのか、面倒なのか分からないけれど、私としてはできる限り護らなければならないと考えているし好ましくも思っている。何しろ
「事故にしろ、病気にしろ、普通に寿命で死んでくれればいいんだがな。我々としては魂が
無表情で淡々と話していたバーミリオン様の表情が少しばかり変わり語気が荒くなる。
恐らく
彼女からは嫌悪のようなものが感じられる。
「バーミリオン様、もし発見したとして寿命まで待つんですか?」
「いや、そんな悠長な事はせんよ。
それなら特に問題はないだろうな。
取り出すのは結構難しいって聞くけれど大丈夫なのかな?
「では、直ちに地球に向かいます」
バーミリオン様にそう告げると私は退室して準備を始める事にした。
人間の事は興味があって調べた経験がある。
きっとコミュニケーションだって上手く取れるだろう。
私はまだ見ぬ人間との邂逅に期待している自分に気が付いた。
楽な仕事ではないだろうが楽しみではある。
少し足取りが軽くなった気がした。
―――
「はぁ……人間って大変な仕事をしてるのよね。そりゃ
私は自分の部屋で思わず呟いていた。
呟きが漏れたのは過去の事を思い出してしまったから。
先輩には優しくしてもらっている。
流石は
後は先輩をどうやって護るか。
私の眷属になってもらって神人化するのが一番良い気がするんだけれど……。
「きっと先輩は人間のままでいたいだろうし、無理やりするなんてできないよ……」
そんな事を思うがバグの大量発生のせいでそうも言っていられない状況でもある。
最悪、神人になってもらうしかないかも知れない。
そんな日が来そうで少し怖い。
先輩の事を考えると胸が苦しい。
私はちゃんと実行できるだろうか?
護り通せるだろうか?