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男女ン♡ダンジョン
男女ン♡ダンジョン
現代ファンタジー現代ダンジョン
2025年06月18日
公開日
1.2万字
連載中
『さあー始まりました! 男女ンダンジョン! 今回の参加者は男性四人、女性四人の八人だ。え?どんな番組かわかんないって?  説明しよう。この新番組はダンジョン攻略&恋愛リアリティーショーだ! この八人で組んず解れつ、時には協力しあい、時には敵対しつつのバトルロワイヤルを制し、運命の相手を探り合いカップルになるのが目的だ!』 『解説はツタエ・マスオ! ゲストはダンジョンクリエイター&マイスターの団創郎氏だ! ガハハ』 

一日目 ①

『さあー始まりました! 男女ン♡ダンジョン! 今回の参加者は男性四人、女性四人の八人だ。え?どんな番組かわかんないって?


 説明しよう。この新番組はダンジョン攻略✕恋愛リアリティーショーだ! この八人で組んず解れつ、時には協力しあい、時には敵対しつつのバトルロワイヤルを制し、運命の相手を探り合いカップルになるのが目的だ!』


『おおー、何か始まったと思ってたら新しいな!』

『拙者も参加したいでござる……』


 ダンジョン配信の大手DDCの新企画。それを楽しみにしていた視聴者たちから早速たくさんのコメントが流れてくる。同接は既に十万を越えている。


『ダンジョン提供は、あの唯一無二のダンジョンクリエイター&マイスター団創郎氏だ! どんな仕掛けがされてあるのか団氏にも把握できないというランダムダンジョン! さあ、まずはメインの参加者たちの紹介をしよう』


 巨大なモニターに囲まれた野球場のようなグラウンド、そのマウンドあたりに隆起した小山がある。


 小山の麓の、ポッカリと開かれたダンジョンの入口は全てを飲み込みそうな漆黒であった。その入口の前に魔法陣のような図が描かれている。


『参加者、降臨!』


 実況の掛け声と共に魔法陣に一筋の雷が落ちる。濛々と立ち込める煙の中、黒いフードとマントを装着した人物が八人並んでいた。


 顔も体型も隠れているため男女の区別はつかないが、身長だけは誤魔化しようがなく、それだけに凹凸がやたらと人物にリアリティを持たせていた。


『この企画は、顔も本名も職業もスキルも最初はわからない仕様になっているぜ! しかも初期装備は運営が配布した、男女ン!ダンジョンのロゴ入り初期装備だけだ! もちろん俺も着てるぜ!』


 実況が筋肉質の胸を突き出すと、その胸には黄色とピンクの配色で男女ン!ダンジョンとプリントされていた。同じようにパンツやナイフにもロゴがプリントされている。


『ダ、ダセエ……』

『いやいや、なかなか味のある品でござるよ!」

『俺がデザインした方が良くね?』


『はっはっはー! 賛否両論だな! 心配するな、ちゃんと物販するからよ!』


『売るんかいW』

『即買いでござる!』


『おっと、それよりも参加者の紹介だ! 紹介されたらダンジョンに入っていってくれよな。まず一人目だ』


 一番右端の人物がフードを外す。顔はベネツィアンマスクで隠され、胸に名札が付いていた。


 黒髪で前髪を上げた爽やかなショートツーブロック、長身で靭やかそうな細マッチョの【マサキ】がまずダンジョンに潜り込む。


 続いて左端の人物。グレーベージュのゆるふわボブで、小柄ではあるが出る所は出ている女性【スミレ】


 そしてまた右端。ハイライトのスパイラルパーマ。スラッとした細身の体型の男性【ショウ】


 左端に戻り、ライトブラウンのロングヘアーをピンでまとめて清潔感のあるスレンダーな女性【サクラ】


 次の男性は漆黒の黒髪をポニーテールでまとめ、前髪を遊ばせた中肉中背の【リュウ】


 長身で体格もガッシリと逞しめ、ショートの髪が清廉さを醸し出している女性【ナナ】が続いた。


 男性陣のラストは参加者中一番の大柄な体躯で、筋骨隆々。刈り上げたツンツン頭の短髪男性【レオ】


 そして最後。派手なピンクのロングウルフ、強く握ったら骨が折れそうなほど華奢な女性【モモ】


 全員が紹介され滞りなくダンジョンへと潜っていった。


『さあ、いよいよ攻略&恋愛ショーのスタートだ! まず最初のエリア、一階層は攻略の拠点となる。そこで八人には拠点づくりをしてもらう! ただし、各自マスクを外したり個人情報を教えることは禁止だ! 職業やスキルがバレるのはしょうがないがな! ガハハ』


 実況がフリップを提示する。そこには今話したような事が書かれていた。


『中の様子はDDC特製自動追尾型のAIドローンカメラで観れるぜ! チャンネル登録よろしくな!』



――ダンジョン内部一階層


 参加者が手に持つスマホが一斉に鳴り出した。このスマホはDDC特製のダンジョン配信個人チャンネル専用である。とはいえ、外部との連絡は運営を通してしか出来ない仕組みとなっていて、またインターネットも独自の回線を使用しており、検索など一切出来ない。


「一階中央部に大きな広間がある。そこに生活の拠点を作ること。材料その他食料などもダンジョン内にあるので、自分たちでなんとかしろ、だとよ」


 マサキが届いたメールを読み上げる。発光種の植物がそこかしこにあり、弱めの蛍光灯並みの灯りで輝いているので明るさは足りている。続いてマップを開き、現在地と中央部を確認する。


「そんなに遠くはないか、行こう」


 皆が皆、まだ慣れていない環境や初めて会う人たちに緊張しているのか挨拶や会話すらしていない状況である。


 そんな中、マサキがリーダーシップを取って、皆に声をかけたのだ。始まった以上進むしかない、参加者はそれぞれ頷いて、僅かに舗装された土の道を、先に歩き出したマサキの後を追った。


「俺はマサキ宜しく……しか言えねえな。コミュニケーション取れなくね?」


 マサキな振り向いて自己紹介をしようとしたが、ままならないことを苦笑しつつ嘆いた。


 だが、それが緊張感を和らげたようで、皆声を出し名前だけではあるが挨拶し始めた。


 中でもショウはもとより人懐こい性格のようで、皆に握手を求めて宜しくねと声がけしている。


 それでも個人情報をバラしてはいけないというルールがあるものだから、雑談はおろか普通の会話すら進まない。




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