目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
壊れかけた幼馴染たち
壊れかけた幼馴染たち
海咲雪
ホラー都市伝説
2025年06月19日
公開日
9,902字
完結済
その放送から私たち幼馴染は壊れ出した。 『今から皆さんには命をかけたゲームを始めて頂きます』 『ルールは簡単。皆さんには匿名で自分以外で死んでほしくない人を一人選んで貰います。誰にも選ばれなかった人は死んで貰います。簡単でしょう?』 『誰を選んだかを明かすことは禁止。全員の矢印が上手く被らなければ、誰も死ぬことはありません』 『投票回数は、3回。10時と12時と17時。結果が採用されるのは17時だけです。つまり残り2回は他の人が誰に投票したかを見るだけです。参考情報まで与えてくれるこのゲーム。なんと親切なゲームでしょう』 『さぁ、ゲームスタートです』 このデスゲームが迎えるエンドはあまりにも------だった。

第1話

 田舎というほど田舎でもないけれど、都会というほど賑わってもいない。そんな平凡な街に私は住んでいる。

 玄関で靴を履き替えていると、お母さんが台所から顔を出した。


里枝香りえか、遊びに行くの?」

「うん」

「今日も涼夏りょうかちゃんたちと?」


 私が頷くと、お母さんが「あんたたち五人は本当に仲が良いわね。私も幼馴染が欲しかったわ〜」と嬉しそうに笑っている。


「腐れ縁みたいなもんだけどね。同じ高校だし」

「何言ってんの。いつも皆んなにはお世話になってるくせに」

「はいはい」

「にしても、朝早いわね。夜には帰ってくるのよ」


 お母さんが台所に戻っていく。私はそんなお母さんを振り返りもせずに「行ってきます」と言って、玄関の扉を開ける。しっかりと顔を見ることもしなかった。当たり前に帰って来れると思っていたから。



 そのことをどれだけ後悔することになるかも知らずに。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?