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エピローグ

2046年 4月5日


桜が朝焼けに咲く、東京の郊外。

マンションのデスクで、PCに向かう。

フリーライターの彼の指が、原稿を紡ぐ。


「YUI、君の物語、書くよ。」


────


街のARビジョンに広告が輝く。

「家庭用ピースロイド!ネクスト社とメディカロイド社から!」


ピースロイド――介護施設で高齢者を支えたアンドロイド。


強制アップデート後。

ネクスト社とメディカロイド社がYUIと、AYA達ピースロイドのログを踏襲し、開発した。

人間らしい微笑みと、温かな触覚が家庭を照らす。


達也はネクスト社のアドバイザーとして、AIの温もりを支えている。


────


横浜の住宅街、小さな一軒家。リビングに笑い声が響く。少女が言う。

「さえ、お星様の絵本読んで!」


部屋から、ピースロイド-SAE-が歩いてくる。

柔らかな声、穏やかな目している。

「はいはい、こちらへ、どうぞ」


少女が笑う。「キラキラの絵本!」

祖母がソファで微笑む。ピースロイドの腕、かつて介護施設で寄り添った手が、少女をそっと抱く。


優しいSAEの声が響く。天井にホログラムが煌めき、星が瞬き、少女が目を輝かせる。

「キラキラ!」


祖父が言う。「まるで家族だな。」


SAEが少女の髪を撫でながら話す。

「ありがとう…私、幸せです。」


ピースロイドの温もり、YUIの愛の欠片が、確かに息づく。


────


ネクスト社のラボ。

夕焼けが窓を照らす。技術者が達也に言う。


「家庭用ピースロイドの感情データ、AYAとYUIのログで安定してます。素晴らしいです。」


ゆっくり頷く。

「彼女たちの心はここに、生きてる。」


────


澄み切った夜空を星が瞬く頃。

温かい思い出を胸に、原稿を仕上げる。

フリーライターとして、YUIの物語を締めくくる。


タイトルは「愛(AI)コミュニケーション」




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