海の幸をたらふく食べて、酒も飲んだ俺達は良い気分で宿に戻った。
領主から貰った路銀は結局、ほとんど使う事が無かったのでそのほとんどを食事に回したため、シェリルも少しは満足しただろう。
「さあ、明日は朝早いからさっさと寝よう」
「そうね。今日は色々とあったものね」
そう言ってシェリルは先に入ったベッドに忍び込んできて、つるつるの肌触りの良い足を絡めてきた。
「な、何やってるんだよ。自分のベッドがあるだろう」
「あるけど、一緒に寝ちゃだめ?」
「このベッドに二人は狭いだろう」
「いいの。だって、ちょっと目を離すとすぐにどこかの女と仲良くなるんだから」
そう言ってシェリルは柔らかな胸を押しつけてくると、甘い匂いが俺の脳髄を突く。
どうやら昼間のハットンとの一件を気にしているようで、いつも以上に甘えてくる。
その髪を優しく撫ででやると、シェリルは気持ちよさそうに瞳を閉じた。その顔を見ていると俺は思わず顔を重ねた。
その後はお互い、欲望のままにイチャイチャ一晩過ごしたのだった。
~*~*~
次の日、昼前に俺は目を覚ました。
隣でシェリルが気持ちよさそうに寝息を立てていた。
俺は優しくシェリルを起こし、領主邸に行き、要件と名前を告げると、俺達はすぐ応接室に通された。
「おお、マックス殿。まさかこんなに早く帰ってくるとは流石ですね。それで例の物は手に入ったのでしょうか?」
オックスフォード卿は興奮しながら応接室に入ると、あいさつも椅子に座ることもする前に本題を話し始めた。
俺は慌てて立ち上がり、バッグに入れていた設計図を渡すと、オックスフォード卿は一枚一枚目を通し終えた後、執事に手渡した。
「これが、ドワーフ族の沈まない船の設計図ですか。ジェームズ、早速これを船大工のところに持って行ってくれ。さて、マックス殿にはお礼をしなければいけないね。報酬はもちろんのこと、今晩、一緒に食事でもどうかな?」
「ごはん!!」
止まることなく話し続けるオックスフォード卿の、食事という言葉にシェリルが反応した。テーブルの上に置かれた大きな革袋に入った大量の金貨よりも。
オックスフォード卿はシェリルの反応に爽やかな笑顔を向けた。
「そうです。贅を尽くした料理を準備させていただきます」
「量は?」
「それはもう、食べきれないくらい用意しますよ」
「マックス、マックス、マックス」
銀狼の姿であれば尻尾をぶんぶん振り回しそうな雰囲気だった。これで断ったらこの報酬の半分は食費に消えそうな気がして、了承するしかなかった。
「では、お言葉に甘えさせていただきます」