しばらく歩いて足を止めた、母さんが俺を心配そうに見て頭を撫でてくれる。
「大丈夫?」
「うん、ありがとう」
ハンカチで俺の涙を拭いながら心配そうに声を掛けてくる母さんのお陰で暖かい気持ちになる。
柔らかいその感触と優しい拭い方が心地よい。
「あの子は、
俺が
前にアイツに突き放されたことが…な。
「まぁね…仲良いと思ってたんだけどなぁ…」
沈んだ気持ちを吐き出すようにそう言った。
そんな俺を母さんはギュッと抱きしめてくれる。
「辛かったよね、よしよし」
そう撫でてくれる母さんに思わず涙が出そうになるが、ハッと今の状況に気付く。
この外やん!今は周りに人いないけどいつ見られるか分からないし、そんな事になったらハズいわ!
「母さんのお陰で楽になったよ、ありがと」
「ふふっ、照れちゃって♪」
恥ずかしくなって離れる俺を見て母さんがクスクスと笑う。
ちょっとした穏やかなひととき、それがとても胸にしみる。
「今はアイツのことで泣いてる訳にもいかないな」
あれだけのことがあったのにまだ流れる涙があったなんて…と思ったけど全然泣いてなかったわ。
不愉快すぎる気持ちになってばかりだったもんな。
「そうね…でも辛い時はちゃんと吐き出さないとダメよ、そうじゃないと潰れちゃうから」
「その時は母さんを呼ぶよ」
「えぇ、いくらでも慰めてあげるからね」
辛いことがあったらやっぱり母さんよな、母性はやはり全てを解決する…。
なんつって、俺は別にマザコンではない。
というかいつまでも甘えてる訳にはいかないだろう。
そんなこんなで母さんを家まで送ってから俺も家に帰った。
早いとこ決着をつけたいな。