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第48話 荻堂一心のステータス

 師匠に首を絞められ気絶したオレだったが、無事復活して放課後まで生き残っていた。訓練場に行くために戦闘服を用意していると、イライラした様子の師匠が教室に入ってくる。


「あら、荻堂先生、訓練場の場所わかりませんでしたか?」


 桜先生が声をかける。


「なにが先生だ」


「でも、顧問なんですよね?」


「俺は了承した覚えはない。そこのクソガキのせいでココに縛られている」


「なら、ごちゃごちゃ言わずに帰ればいいじゃない」


「おまえら以外の訓練も受け持てと言われて、働いてきたんだよ!誰も話が通じなくて仕方なくなぁ!」


「激おこで草w」


「……このままイラついて帰るのも気に入らねぇ……このままシゴいてやるよ。覚悟しとけ。地獄を見せてやる」


「おお!さっそく稽古ですか!望むところです!師匠!」


「はぁ?あたしはイヤなんだけど?」


「ゆあもちょっと……」


「わたしはお付き合いしますね」


「みんな頑張って〜」


 ヒラヒラ手を振る桜先生を残し、オレたちは訓練場へと移動した。


 荻堂さん改め、師匠の訓練はそれはもう厳しくて、遅い時間まで続くことになる。特にオレには死ぬほど厳しくて、《クラス替え》スキルで勝手にクラスに加入させたことをここぞとばかりに恨みを晴らされたのだった。

 ということで、お察しの通り、訓練が終わったときには干からびたカエルのように地面にへばりつくことになってしまった。


「大丈夫?りっくん」


「いてて……うん、ありがと」


 師匠が帰ったあと、オレたちはグッタリしながら訓練場の壁にもたれかかっていた。もう少し身体を休めないと動く気にすらならない。


「てか、あいつ、強すぎない?陸人も人間離れしてると思ってたけど、そんなレベルじゃないわよ」


「本当ですね。やっぱり、昔よりもお強くなっています」


「そういえば、あいつってクラスに加入したのよね?ステータスどうなってんのよ?」


「あ、やっぱ気になる?気になるよなぁ。すごいぞぉ」


「なんであんたが得意げなのよ」


「りっくん!早く見せて!早く早く!」


 両サイドにゆあちゃんと鈴、後ろから栞先輩に覗き込まれながら、《クラス替え》スキルの画面を操作し、荻堂一心の座席をタップする。


「なによこれ……」

「うわぁ……」


 表示されたステータスはこうだ。


―――――――――――――――――

氏名:荻堂一心(おぎどういっしん)

年齢:27歳

性別:男

役職:顧問教諭

所有スキル:瞬間移動

攻撃力:157(S+)

防御力:98(A+)

持久力:205(SSS)

素早さ:162(SS)

見切り:360(SSS)

魔力:52(B)

精神力:289(SSS)

学級委員への好感度:51

総合評価:SS

―――――――――――――――――


「本当に人間なの?陸人、あんたのステータス見せてみなさいよ」


「ほいほい」


―――――――――――――――――――

氏名:咲守陸人(さきもりりくと)

年齢:15歳

性別:男

役職:学級委員

所有スキル:クラス替え

攻撃力:63(B+)

防御力:42(C+)

持久力:93(A+)

素早さ:78(A-)

見切り:24(D)

魔力:1(E-)

精神力:75(A-)

統率力:271(E+)

総合評価:B

―――――――――――――――――――


「こうやってみると……」


「大人と子どもね……」


「だよなぁ。オレもそこそこ強いと思ってたんだけど。これを見たときはビビったよ」


「ほとんどが2倍以上の数値ですか……特に見切りの数値が高いですね。見切りって何を表してるんでしょう?」


「んー、たしか解説者曰く、敵の攻撃を見切る能力だったかな?でも、これを上げる意味がよくわからなくて、自分には割り振ってこなかったんですよね」


「そうなんですね。荻堂さんは小さい頃から武道家として実践的な訓練をしてきたから、この数値が高い、ということでしょうか?」


「なるほど〜、てことは栞先輩も高いんですかね?」


「どうなんでしょう?」


「なら栞ちゃんのも見てみようよ」


「いや、栞先輩はまだクラスに入ってないから見れないよ?」


「あれ?そうだったっけ?なら、もう加入してもらえばいいじゃん?いいよね?栞ちゃん?」


「あ、はい、そうですね。もちろん大丈夫です。むしろ、遅くなってしまってすみません。わたしから言えば良かったですね?」


「ん?てことは栞先輩、オレのこと信頼してくれたってことでいいんですか?」


「え?……なんでそんな……陸人くんはイジワルです……」


 オレの発言に、少し頬を膨らませてぷっくりする栞先輩、どうやら怒らせてしまったようだ。


「ノンデリっくんおつ。いいから栞のこと加入させなさいよ」


「んー?まーわかった。あいあい」


 鈴の態度が気に入らないが、新メンバー加入をボタンを押し、〈鳴神栞を加入させますか?〉にYESボタンを押す。


 すると、すんなり、栞先輩がクラスに加入できた。おかしいな、まだパーティに入って1ヶ月くらいなのに。どこで信用を勝ち取ったのだろう?まぁいいか。

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