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第29話 はじめての連携攻撃

 皆で考えた作戦はこうだ。


 まずはオレが前に出て、ベアウルフの足を切る。


 動きが止まったところで、オレが合図してソフィアに魔法を打ってもらう。魔法は一直線に素早く飛んでいき、オレが避けやすいものを選んだ。炎のように避けても火傷するようなものはやめて、ウォーターレーザーを放つことに決まった。


 上級魔法を打ったら、すぐにリリィがMP回復魔法をかける。


 もし敵を倒せなかったら、オレがトドメを刺すか、ソフィアがもう一度、魔法を叩き込む。


 という感じだ。


 何度もおさらいをしたあと、実戦で試す。


「いくよ!」


 2人がコクリと頷く。


 オレが木陰から飛び出して駆けていく。ベアウルフに気づかれて拳を振るわれるが、避けて後ろ足を切りつける。

 咆哮をあげられるが、構わずもう片方の後ろ足も切りつける。


 ベアウルフがガクっと崩れ落ちたのを確認して、「ソフィア!いまだ!」と合図した。


 すぐに、「ウォーターレーザー!!」という声が聞こえてくる。


 その魔法はベアウルフの頭をとらえて身体を貫通。やつはバタンッと地面に崩れ落ちた。

 リリィはソフィアにMP回復魔法をかけてくれている。


「よっし!」

 オレはガッツポーズをとり、2人に駆け寄った。


「いい感じだったね!」


「うん!」

「ええ!そうですね!」


 初めて決まった連携にオレたちは皆、興奮ぎみだった。


「よっし!このままどんどんいこう!」


 オレたちはその勢いのまま、ベアウルフ討伐に勤しんだ。


 この連携は、ほぼほぼ上手くいき、今までの何倍も楽に討伐を進めることが出来るようになった。


 たまにソフィアの魔法の当たりどころが良くなくて、敵が即死しないこともあったが、そこはオレが即座にカバーに入ってトドメを刺した。


 ソフィアが2発目を打つことはないかな?と思っていたら、ベアウルフを倒した途端にもう一体が木の裏から現れて、リリィに向けて突進、オレが間に入り無理矢理受け止めたところにソフィアがウォーターレーザーで倒してくれた。そのおかげで大事にならずに済んだのだ。


 リリィが事前にMP回復魔法をかけてくれていなければ、クールタイム中でソフィアは魔法を打てなかっただろう。

 備えあれば憂いなし、というやつだ。


「ライ、あんたどんな馬鹿力してるのよ」


 ベアウルフの突進を正面から受け止めたオレに対して、ソフィアは呆れ顔だった。


「すぐに治しますので!」

 リリィは心配そうに、突進を受け止めたときに負った軽傷を治してくれた。


「2人ともありがとう」

 オレは心の底から2人に感謝した。



 森に入る前、作戦会議をして時間を潰したにも関わらず、今日は11匹も狩ることができた。今までの最高記録更新である


 ギルドに戻って報酬を受け取ると、オレが中級A、リリィが中級Bにランクアップした。ソフィアはそのまま上級Aだ。


「ソフィアはそのままなんだね?」


 気になって聞いてみる。


「特級になるには、特級のモンスターを何度か討伐しないといけないのよ」


「へー、そうなんだ」


 経験値的なシステムで、弱いモンスターをたくさん倒しまくれば勝手に上がっていく、というわけではないようだ。


 報酬の分配が終わると、

「じゃあ、また明日ね!」と手を振ってソフィアが帰っていく。


 そんな様子から気になってしまい、こっそり確認すると、好感度は〈72/100〉になっていた。


 連携が上手くいって後ろめたい気持ちがなくなったからだろうか?


 なんにしろ、攻略が上手く進んでいて嬉しい限りである。

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