皆で考えた作戦はこうだ。
まずはオレが前に出て、ベアウルフの足を切る。
動きが止まったところで、オレが合図してソフィアに魔法を打ってもらう。魔法は一直線に素早く飛んでいき、オレが避けやすいものを選んだ。炎のように避けても火傷するようなものはやめて、ウォーターレーザーを放つことに決まった。
上級魔法を打ったら、すぐにリリィがMP回復魔法をかける。
もし敵を倒せなかったら、オレがトドメを刺すか、ソフィアがもう一度、魔法を叩き込む。
という感じだ。
何度もおさらいをしたあと、実戦で試す。
「いくよ!」
2人がコクリと頷く。
オレが木陰から飛び出して駆けていく。ベアウルフに気づかれて拳を振るわれるが、避けて後ろ足を切りつける。
咆哮をあげられるが、構わずもう片方の後ろ足も切りつける。
ベアウルフがガクっと崩れ落ちたのを確認して、「ソフィア!いまだ!」と合図した。
すぐに、「ウォーターレーザー!!」という声が聞こえてくる。
その魔法はベアウルフの頭をとらえて身体を貫通。やつはバタンッと地面に崩れ落ちた。
リリィはソフィアにMP回復魔法をかけてくれている。
「よっし!」
オレはガッツポーズをとり、2人に駆け寄った。
「いい感じだったね!」
「うん!」
「ええ!そうですね!」
初めて決まった連携にオレたちは皆、興奮ぎみだった。
「よっし!このままどんどんいこう!」
オレたちはその勢いのまま、ベアウルフ討伐に勤しんだ。
この連携は、ほぼほぼ上手くいき、今までの何倍も楽に討伐を進めることが出来るようになった。
たまにソフィアの魔法の当たりどころが良くなくて、敵が即死しないこともあったが、そこはオレが即座にカバーに入ってトドメを刺した。
ソフィアが2発目を打つことはないかな?と思っていたら、ベアウルフを倒した途端にもう一体が木の裏から現れて、リリィに向けて突進、オレが間に入り無理矢理受け止めたところにソフィアがウォーターレーザーで倒してくれた。そのおかげで大事にならずに済んだのだ。
リリィが事前にMP回復魔法をかけてくれていなければ、クールタイム中でソフィアは魔法を打てなかっただろう。
備えあれば憂いなし、というやつだ。
「ライ、あんたどんな馬鹿力してるのよ」
ベアウルフの突進を正面から受け止めたオレに対して、ソフィアは呆れ顔だった。
「すぐに治しますので!」
リリィは心配そうに、突進を受け止めたときに負った軽傷を治してくれた。
「2人ともありがとう」
オレは心の底から2人に感謝した。
♢
森に入る前、作戦会議をして時間を潰したにも関わらず、今日は11匹も狩ることができた。今までの最高記録更新である
ギルドに戻って報酬を受け取ると、オレが中級A、リリィが中級Bにランクアップした。ソフィアはそのまま上級Aだ。
「ソフィアはそのままなんだね?」
気になって聞いてみる。
「特級になるには、特級のモンスターを何度か討伐しないといけないのよ」
「へー、そうなんだ」
経験値的なシステムで、弱いモンスターをたくさん倒しまくれば勝手に上がっていく、というわけではないようだ。
報酬の分配が終わると、
「じゃあ、また明日ね!」と手を振ってソフィアが帰っていく。
そんな様子から気になってしまい、こっそり確認すると、好感度は〈72/100〉になっていた。
連携が上手くいって後ろめたい気持ちがなくなったからだろうか?
なんにしろ、攻略が上手く進んでいて嬉しい限りである。