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ダメダメでもいいじゃない、だって姉だもの
ダメダメでもいいじゃない、だって姉だもの
寄道ゆらり
現実世界現代ドラマ
2025年06月29日
公開日
1.4万字
完結済
ホノカは今日も妹のユウコに起こされる。 身支度から朝ごはんまでユウコにお世話されて、いざ学校! しかし、ホノカはひきこもり。 そう簡単に学校に行くはずもなく……。

第1話 姉さん学校に行きますよ?

「ホノカ姉さん起きてください。朝ですよ? 学校ですよ」

 カーテンが音を立てて開かれた。

 まぶしい……溶けるぅ。

「うぅ」

「ほら、着替え、パジャマ脱げますか?」

 ユウコがまるで母親のように尋ねてくる。

「ううん」

 ねむい……。

「もう、仕方ない姉さんですね……はい、ばんざーい」

「ばん……じゃ、い」

「よし、上はOKです。次、下です」

「……ん」

「はい、よく脱げましたね~えらいえらい。次はスカート履けるかな~?」

「ん、はけりゅ」

「わあ、上手ですね~。では、朝ごはん準備してありますよ。姉さんの大好きなオムライスですよ~」

「ん、たべゆ……」

 頷くと、背中を押された。

「飲み物は牛乳でいいですか? 姉さん身長伸ばしたいんですもんね」

「むねも、おっきくしたい……」

いつの間にかリビングだった。

オムライス、おいしい。

でも、ねむい……。

「ほらケチャップがほっぺについてますよ? ふいてあげますからじっとしてて」

「ん……」

「食べ終わったら歯磨きです。洗面所にいきますよ」

 まだ、頭がぼーっとする。

お布団に行きたい……。

「ん、つれてって」

「ほらほら、いつまでも寝ぼけてちゃだめですよ? お口開けてくださいあーん」

「……あー」

「歯磨きはOKです。ついでに顔も洗って、髪もきれいにセットしてあげますね」

「やぁだ、つめたい……」

「よし、完璧です! さ、姉さん私の手を握ってください。登校しますよ!! 扉がちゃー!」

 むっとする外気と共に、陽ざしが私を出迎えた。

「ん……まぶし……ん、んんん?」

 私の足は一歩玄関の外に出ていた。

「どうしましたか姉さん。まんまるに目を見開いて?」

「こ、ここ外? え、なんで制服着てるのあたし!? 髪もふわっふわ!!」

「やれやれ、ゆるふわヘアーに気付くとは。目が覚めてしまいましたか……」

 あきれ果てた様子で首を振る私よりも少しだけ身長が高い妹……。

「こら、ユウコ! またあんたの仕業ね!! 私は学校なんて行かないって言ってんでしょ! 放っておいて。って、あ、あれ? 玄関開かないんだけど……」

「ふっふっふ。残念ですね姉さん! こんなこともあろうかともうカギはかけてしまいましたよ? あなたは学校に行くしかないのです!!」

「くっ……なんて卑劣な妹……でも姉をなめないでほしいわね」

「そ、それは!?」

「合鍵よ。こんなこともあろうかとネット注文したのよ!」

 通販でね!

「卑怯な!!」

「寝ぼけているのをいいことに登校寸前まで誘導した奴の言うセリフ? それじゃ、私は二度寝するから一人で学校いってらっしゃーい」

 扉を閉めようとすると、ユウコが止めた。

「……待ってください姉さん!!」

「なによ手ぇ、はなしなさいよ」

「こ、このままだと留年ですよ!! 私と姉さんが同じ学年になってしまうのですよ……いいんですか!?」

「そうね、うーん」

 確かにユウコと一緒の学年ね。

「そうですよね? 嫌ですよね。じゃあ学校に行きましょうよ?」

「あたしは一向にかまわないわ!! むしろもう1年遊べてラッキー」

 妹が同学年に居ようといまいと構わないわ! だって学校行く気ないから!!

「ええ……うそぉ。ええ……」

「そんなことより、そろそろ行かないとホームルームに間に合わないわよ、無遅刻無欠席目指してるんでしょ?」

 私が知っているユウコの唯一の弱み?だ。

「くっ、こんなことで私は挫けませんよ!! いつかあなたを更生して見せます、このダメ姉―ッ!」

 ユウコは安全の為、前方を確認しながら早歩きで家を出た。

「いってらっさーい。ふぁ~あ……まったく、まじめな妹ねぇ」

 さて、早起きしちゃったから仕事の時間まで寝直さなくちゃ。

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