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探索者や傭兵は、レベルを上げることでステータスポイントを取得、自由に割り振ることが可能である。システム画面に表記される項目は、以下の通り。
Lv(レベル)上限なし
EXP (経験値)%表記 0から100まで
SP (ステータスポイント)※
MP (マジックポイント)魔力量
ST (スタミナ)持久力
STR (ストレングス)筋力、膂力
AGI (アジリティ)敏捷性
DEX (デクスタリティ)器用さ、鋭敏さ
VIT (バイタリティ)生命力
INT (インテリジェンス)知能、知性
MAG (マジック)魔力の強さ
※ステータスポイントは、レベルごとに取得。その計算式は、レベル×10。また、10レベル毎にボーナスポイントを取得、こちらもレベル×10ポイント取得する。
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2043/07/25 (土) 22:02
横浜市内 中華料理『山清楼』
「――で、なんでアンタがいるの?」
「ホンマいけずやね、カナちゃんは♪」
日本屈指の大都市、横浜。昨今は、ダンジョンの存在もあって、更に存在感と重要性が増している。俗に言う、ダンジョン利権の争いが激しいことでも有名である。
「――私でよかったら手伝うよ!」
「ホントですか!嬉しいです!」
「ほっほっほ、良かったのう、アカネ」
「爺ちゃん爺ちゃん、コレなーに?」
「む?おお、フカヒレの姿煮じゃの。カイトや、儂にも――」
「うわっ!?なんかトロトロしてる!?」
「そのトロトロがたまらんのじゃよ。どれ、貸してみよ――」
現在、県内外含めて、多くのクランが横浜ダンジョンの攻略を試みている。その最大の理由は、魔石の質の高さにある。
「――にしても、噂の阿修羅が、まさか剣聖の孫や思わんかったわ。べらぼうに腕が立つゆうんは知ってても、こんなん予想できんやろ」
「私の場合、アイツから聞いていたからな」
「確か……筑波やったっけ?」
「ああ、そうだ。筑波ダンジョンの五階層で阿修羅が生まれた、というか、アイツの尻拭いをしてくれたらしい――」
横浜ダンジョンのオーガはその多くが、他のダンジョンのモンスターと比べてレベルが高い。それはつまり、魔石の質が高い。
つまり、横浜ダンジョンの利権を得るイコール質の高い魔石入手が可能になるということ。
では、何故、質の高い魔石が、これほどまでに求められるのか、需要があるのか。その理由はたったひとつ。とある技術に欠かすことのできない最も重要な素材、それが魔石だからだ。
魔石という名の未知を導いて、新たな未知を編み出す技術、それが――魔導。そして、魔石の質は、魔導の質に繋がり、ダンジョン攻略におけるアドバンテージに繋がる。
だからこそ、横浜ダンジョンという名の魔石採掘場の価値が高いのである。
「――カ、カイトくん……足と左手、どう?違和感は無いかな?大丈夫?」
「はい、大丈夫です!おかげさまで元通りです、ありがとうございます!」
「いやいや、まったくじゃ。ほんに助かったぞ、花宮くん。孫が世話になったのう」
「いえ、藤堂先生には日頃からお世話になってますので、これくらいは――」
(だ、誰やアレ……ワイとの態度の差はなんやねんな、ホンマ――)
横浜ダンジョンに限らず、暗黙の了解とも呼ぶべき風潮が、ダンジョン攻略には存在する。その中でも特に尊重される事柄が、階層主撃破に伴う、次の階層への優先的挑戦権である。
もちろん、そんなルールはどこにも存在しないため、誰が挑戦してもいい。だが、そもそもの話、階層が上がれば敵の強さや罠のいやらしさも上がる。そのため、階層主を撃破できるだけの実力者が次の階層に向かうのは、理に適っているのである。
「――本当に、私たちと一緒でいいの?」
「私は大歓迎です!というかですね……どちらかというと、私より、カイトくんの意見が優先されるべきでは?」
「ほっほっほ、謙遜なさるな、お嬢さん。アカネの話では、中々の活躍と聞いておる。胸を張って、決めていいんじゃよ。それに、こやつのお目付け役を花宮くんに任せられるのは、儂としても有難い。頼めるかの?」
「はい、確かに承りました。カイトくんとアカネさんのこと、私たちにお任せください」
ただし、階層主を倒したとはいえ、必ずしも、次の階層で通用するとは限らない。だからこそ、新たな階層に向かう際には、複数人、複数のパーティ、複数のクランで攻略に臨むというのもまた、ダンジョン攻略における暗黙の了解――セオリーである。
「藤堂先生、ワイらも噛ませてもろても?」
「ふむ……この件は花宮くんに一任したようなもの。儂の一存ではのう……」
「――らしいんやけど?」
「足、引っ張るなよ?」
「はっ、誰に言うてんねん――」
その男は、横浜を拠点とする日本屈指の探索者クラン『
ただし、彼が彼女と違うのは、第二世代と呼ばれる者たちの一人であること。
糸目、関西弁、茶髪の優男という、一昔前に流行った裏切り者の特徴であることを配信で弄られ、ノリノリで乗っかってしまうほどに陽気な男の名は――
わかりやすいほどに強力なシークレット・タレント――その凄まじさから、炎帝とも称されるリョウゴの異名にして異能――『レーヴァテイン』の名は、畏怖とともに、世に知られている。