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第20話 新しい日常

三ヶ月後、新宿駅前のセブンイレブンは新しい看板に掛け変わった――「三時コンビニ」として生まれ変わったのだ。


ハヤトは店長用のネクタイをきちんと締め、レジカウンターで言い合うミオとコトハを微笑ましく見守っている。三人で懐中時計の力を受け継いで以来、この店は彼らの拠点となっていた。


「何度言ったら分かるの?おでんにイチゴソースはダメだって!」ミオがおたまを振りかざす。


コトハは舌をぺろりと出して、「でも子どもたちは好きなんだもん~」と返した。


アオイはミニサイズのスタッフ制服を着て、棚に商品を補充している。髪はだいぶ伸びて、コトハとお揃いのツインテールにしていた。


そのとき、ドアのベルが鳴り、ジリュウ尼僧が手作りの漬物を持ってやってきた。アヤセのおばあちゃんは定期的に孫の様子を見に来ては、ついでに無料のコーヒーを楽しんでいく。カンナギ家の当主もたまに顔を出し、普通の客を装って新聞を買っていく――だが、毎回お釣りは募金箱に入れていくのだった。


夕方、店を閉める頃、ハヤトは懐中時計に新しい機能が加わっていることに気づいた。三人が同時に文字盤に手を触れると、十年後の映像が映し出されるのだ。


ミオは食品会社のCEOとなり、開発した「思い出おでん」が全国的なヒット商品になっている。コトハは幼稚園のチェーンを海外にまで展開し、教材は二十か国語に翻訳されている。そしてハヤトは――


「なんで俺だけまだ店長なんだよ!」


ミオとコトハは大笑いする。夕日がガラス窓から差し込み、三人の影を長く伸ばす。その影は懐中時計の上で一つに重なり、やがて同じ光へと溶けていった。

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