僕は今、学校生活での死を覚悟した。
なぜなら学校内で同じ制服を着ているチャトランガの幹部の1人である
(ええぇ
しかも、彼の制服のネクタイの色は赤色。
それは3年生の学年カラーで、2年生である僕より先輩であることを示していた。
(……え、僕、
チャトランガがただのチェスクラブだと思っていた時から僕達はお互いの年齢や本名を言わないので、勝手に
何となく雰囲気が同級生という感じで、ついうっかりタメ口を使っていそうで怖い。
これで僕がもし同じ学校の後輩だとバレたのなら、「え?こいつ俺の後輩の癖してタメ使ってた?はぁ?後で校舎裏な!」という未来しか見えない。
背中に嫌な汗が流れて止まらない。
(……うぅ……ここは視界に入らないように教室に戻ろう。)
本当は
くるりと踵を返したその時、「あ、シヴァさ……えぇっと、リーダー!」というよく知っている声が、後ろから投げられた。
うん、何故か皆僕の事様付けで呼ぶけど明らかに黒歴史になるので呼び方変えてくれてありがとう!
でもなんでリーダー!?
振り返れば何故か嬉しそうにこちらに走って近づいて来た
後ろに置いていかれた仲間達は「え、兄貴!?」と困惑している。それもそうだろう。こんなヒョロヒョロで、目付きだけが悪い地味男を自分たちが従っている体格も良くて、顔立ちも髪色も派手な彼が「リーダー」なんて呼んでいるんだから。
これ、僕が後で彼らに「お前校舎裏な!」と言われるパターンではないのだろうか。
声を大にして言いたい。
ただの!チェス仲間なんです!!
あ、チャトランガただのチェスクラブじゃないんだった!
「リーダーも飲み物買いに来たのか?」
「……ええ、まあ。……今日は少し暑いので喉が乾いてしまいまして。」
なんとかそう言葉を返せば、ニッコリと笑った
「そうですね……冷たい紅茶でも飲もうかと……」
と、言葉を零した瞬間、
「待ってろ!すぐ買ってくるからな!」
(ええぇっ!?)
あまりの速さに思わず伸ばした制止の手も届かない。
しかし、僕はそこではたと気づいた。
もしかして、
(もしかしてその口止め料?)
チャトランガは誰かしら会えばチェスの試合を始める。当然幹部の
確かに不良にチェスは似合わないかもしれないけれど、趣味は人それぞれなのだし、それはそれでいいと思うのだが。
「ほらよリーダー!」
「……ありがとうございます。」
別に誰彼構わず嘲風し回る訳ではないのだから、こんなことしなくてもいいのに、と思いつつも、すでに買ってしまっている以上、受け取らないというのも失礼だろう。
「ト……あー……先輩は何を買いに来たんですか?」
名前を呼ぼうにも僕が知っているのは
「
そしたらリーダーが居たんだ、とニコニコしている
ガコンと音がして落ちてきたそのペットボトルを拾い上げ、里田先輩の方へと差し出す。
「え、リーダー?」
「飲みたかったんですよね?」
流石に先輩に気安すぎたか!?と思った時には既に遅く、里田先輩は下を向いてプルプルと震えていた。
あー!これは絶対怒りで震えているやつですね!!すみません!!
いつまで経っても受け取らない里田先輩に半ば押し付けるようにコーラを渡し、「すみません、授業が始まるので。」とそそくさとその場から退散した。
これは確実に後で校舎裏お呼び出しですね!
グッバイ僕の高校生活!