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剣道こまちッ/\ ~廃部寸前! 女子剣道部、俺が監督します!?~
剣道こまちッ/\ ~廃部寸前! 女子剣道部、俺が監督します!?~
現実世界ラブコメ
2025年07月08日
公開日
683字
連載中
大城一心は剣道に全てをかけ、中学で全国大会を制した。 その歓喜に浸る帰り道、轢かれそうになった少女をかばい大事故に遭う。 「もう竹刀は握れないかもしれない」という医師の言葉が未来を凍らせ、一心は家から近いだけの理由で元女子校へ進学。かつての情熱を失い、ただ惰性で高校生活を送っていた。 ある放課後、校庭の隅で目にしたのは、ポンコツだった。珍プレー連発。面を空振りし、袴に竹刀を絡ませるギャグ満載の稽古にもかかわらず、その瞳は剣道への純粋な熱で燃えていた。陽菜の一振りが、一心の胸に封じていた熱をかすかに震わせる。 剣道部再建に情熱を注ぐ顧問・高峰友里の「弱小部を導いてほしい」という言葉に揺らぎ、見学だけならと入ると、待っていたのは――。 ポンコツエース・二年、霧島陽菜 クールビューティー・二年篠原美咲 地味女子・二年、風見奏 元気全開ビギナー・一年、丸山志保 といったJKたちに捕らえられ、強制的に剣道部へ入部。 笑撃と胸キュン満載の青春ラブコメディにマジになれ! 学園の中心で愛を叫ぶ。 「助けてくださぁぁぁい!」

第一話 御用だ、御用だ

1

 縄、めっちゃキツいんですけど!?

なにこれ!?

深夜テンション?

いや、もっとヤバいことに巻き込まれてない!?


「おとなしくしてなさい。逃げようとするからでしょ」


 目の前で、涼しい顔してそう言うのは――霧島陽菜。部活勧誘の時からなんとなく感じてたけど、この人、絶対にやることおかしいよね!?

ニッコリ笑ってんのに、俺の背中の縄をガチガチに締め直したよ!?


「ヒナ、やりすぎでしょ!」


 と、風見奏が眉をひそめる。


「うーん、亀甲縛りの方が」

「尊厳! コンプライアンスゥ」


 笑ってる場合じゃない!

本当に笑ってる場合じゃないから!


「それにしてもさ、縄ぴったりだね! 忍者か何か?」

「健全な男子高校生です!」


 志保ちゃん、えぐい笑顔を見せるのはやめよう?


「これでどうやって俺が剣道教えるって言うんですか!?」

「んー、大丈夫! 一心くんは見てるだけでいいんだから」


 陽菜の明るさが余計につらい。

だが、隣からはさらに冷たい声が投げかけられる。


「うるさい。黙れ」


 篠原美咲。彼女の眼差しは俺の声を真剣にカットする。


「……怖すぎる。ていうか俺、人間扱いされてます?」


 耐えられない。耐えられない。もう寒いし、痛いし、心も折れてきた。


「一心くん、今どんな気持ち? ほら、聞いてあげる!」


 陽菜がわざわざ耳を近づけてきた。


「冷たいッス!!!  床冷たいッス!!!」


 こんなの体罰。誰だよ、ご褒美とか言った奴。


「あ……先生助けてくださぁぁい!」


 扉を開けて入ってきたのは、黒髪ショートの顧問、高峰友里だった。出るとこは出ているナ――。


 ニコ(⌒∇⌒)⌒∇⌒)


「笑ってんじゃねぇぇ!」 


 この女教師ぃぃぃ! 


 もう……どうしてこうなったんだ、俺。

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