縄、めっちゃキツいんですけど!?
なにこれ!?
深夜テンション?
いや、もっとヤバいことに巻き込まれてない!?
「おとなしくしてなさい。逃げようとするからでしょ」
目の前で、涼しい顔してそう言うのは――霧島陽菜。部活勧誘の時からなんとなく感じてたけど、この人、絶対にやることおかしいよね!?
ニッコリ笑ってんのに、俺の背中の縄をガチガチに締め直したよ!?
「ヒナ、やりすぎでしょ!」
と、風見奏が眉をひそめる。
「うーん、亀甲縛りの方が」
「尊厳! コンプライアンスゥ」
笑ってる場合じゃない!
本当に笑ってる場合じゃないから!
「それにしてもさ、縄ぴったりだね! 忍者か何か?」
「健全な男子高校生です!」
志保ちゃん、えぐい笑顔を見せるのはやめよう?
「これでどうやって俺が剣道教えるって言うんですか!?」
「んー、大丈夫! 一心くんは見てるだけでいいんだから」
陽菜の明るさが余計につらい。
だが、隣からはさらに冷たい声が投げかけられる。
「うるさい。黙れ」
篠原美咲。彼女の眼差しは俺の声を真剣にカットする。
「……怖すぎる。ていうか俺、人間扱いされてます?」
耐えられない。耐えられない。もう寒いし、痛いし、心も折れてきた。
「一心くん、今どんな気持ち? ほら、聞いてあげる!」
陽菜がわざわざ耳を近づけてきた。
「冷たいッス!!! 床冷たいッス!!!」
こんなの体罰。誰だよ、ご褒美とか言った奴。
「あ……先生助けてくださぁぁい!」
扉を開けて入ってきたのは、黒髪ショートの顧問、高峰友里だった。出るとこは出ているナ――。
ニコ(⌒∇⌒)⌒∇⌒)
「笑ってんじゃねぇぇ!」
この女教師ぃぃぃ!
もう……どうしてこうなったんだ、俺。