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第34話 リバー・グリフィンの独白

 俺はリバー・グリフィン。最高にイカしてる男だ!

 俺はガキの頃、アンノウンとの市街戦に巻き込まれて左手と左足を吹っ飛ばされた。

 生き残っただけ運が良かったんだろうな。周りの連中は上半身だけとか下半身だけとか、四散したやつもいたらしい。

 ま、そんでも死にかけたけどな!


「お前、運がいいな。ちょうど材料がある」

 そんな声が聞こえてきて、いつの間にか気を失ってて、目が覚めたら無くなった左手と左足が有機機械化してた。

 で、俺は左足の脚力と左手の腕力がスゲーことになった。

 ただし、コレは秘密にしなきゃなんねーんだよ。フツーはこうならねーらしいからよ。


 パワーアップしたことだし、俺を助けてくれたレベッカの部隊に入り、俺は傭兵になった。

 ま、傭兵になってもならなくても、ここは簡単に死ぬような場所だ。いつか死ぬにしても、俺らしくカッコよく死にてーし、それが無理でも華やかに死んでやるさ。


 ……って思ってっけど、アッシュがなぁ……。

 レベッカに助けられたのは俺だって同じだし、レベッカに俺らを託されたアッシュが、張り切って俺らを守ろうとしてんのもわかるぜ。

 でもよ、俺は俺だ。

 レベッカに逆らうつもりはねーけど、彼女が死んだ今、縛られて生きたくはねーんだよ。


 ――俺の親父は、ずっと苦労して生きてきたんだとさ。

 エリアではイイトコの坊ちゃんだった親父は、我慢してやりたくねーこともやって、親の期待ってヤツに応えてたらしい。でも結局親に掌返されて見放されて、我慢してたのはなんだったんだってやさぐれてたときにお袋と出会って結婚して、一からやり直して我慢して苦労して。

 アンノウンに殺される前の日、ようやく我慢し続けた結果が出そうだとか言ってたな。

 俺はガキもイイトコだったから、それがなんだったのかわからねぇ。

 でも我慢して嫌なことやり続けて、結局全部ダメんなって、また我慢して嫌なことやり直して、もうちょっとってトコで死んだ、ってのはわかった。


 で、俺はそんな人生ゴメンだな、って思ったワケだ。

 今一瞬でも後悔すんのは嫌だ。当たって砕けるほうがまだマシだ。

 どうにもなんねー不条理はある。でも、こんなに簡単に死んじまう世の中なんだから、我慢なんかしないで好きなようにやりたいよな。


 それもあって部隊に入隊したんだけどよ、ま、ガキだったから全然使い物になんなくてアッシュにさんざんしごかれた後、レベッカにもっとしごかれた。助けたくせに殺す気かって思ったな!

 でもって、ガキだったからアッシュにはだいぶ反発してた。でも、レベッカには逆らわなかったぜ? 逆らったらヤベェってちゃんとわかってたからよ! だから、レベッカの言いつけどおり、クロウのめんどうを見てやってた。


 実はクロウには最初ちょっと惚れてたんだけどよ。アッシュとレベッカが俺でもビビるような笑顔で、

「「手を出したら、殺すぞ?」」

 って脅してきたんでやめた。

 ……だってよ、今までにいないタイプだったからよ。


 今のクロウにゃ惚れねーけど、当時はめっちゃくちゃかわいかったんだぜ? おとなしくて、俺の言うこと聞いて、俺の後ろについて回ってきて。

 俺が住んでたトコにいた女どもって、喚くし怒鳴るし蹴ってくるしでマジで苦手だった。……そういやアイツら、みんな死んじまってもういないんだな。


 しばらくして、ジェシカが入隊した。

 俺と同じでアンノウンにやられたのかと思ってた。違うって聞いたのはいつだったかな。

 ジェシカは……変な奴だったな。

 最初は、ぜんぜんしゃべんなかったし、俺やクロウが近寄るのもダメだった。

 俺はまだマシで、クロウは特に避けられてた。

 大丈夫だったのはアッシュくらいだったか。

 ……で、一緒に訓練を受けてるうちに話すようになってきて「コイツ、もしかして俺に惚れてんじゃねーか?」って思うようになってきた。

 でもって、ジェシカがヘマやったあとから急に態度がキツくなったんだけどよ……。

 なんでだよ?


 そのあとキースが入隊した。

 キースも最初はひどかったな。ぜんぜん口きかねーんだよ。

 俺はほっとけって思ったんだけど、ジェシカはなんか相手してた。

 で、あるときからキースがクロウを構いだした。

 俺は慌てて忠告した。

「……おい。クロウがかわいいからって手を出すのはやめとけ、レベッカと、特にアッシュに殺されるぞ?」

 キースは、「は?」ってすっとんきょうな声を出しやがった。

 つーか、初めて口聞いたと思ったら「は?」ってなんだよ。俺が親切に忠告してやったのによ。

「そんなんじゃない。彼女はほぼ全身有機機械なんだろう? 不自由だろうから手を貸しているだけだ」

 真面目チャンかよ!? って答えが返ってきた。

「ならいーけどよ。マジで手を出すのはやめとけよ」

「手を出すってどういう意味だ。いたずらをするという意味なら、いくら同い年でも見た目があんなに幼い子に何かするわけないだろう」

 ……コイツ、しゃべり出したらすげー口が悪いんだけどよ?

「そんなん、お前がぜんぜんしゃべんねーから何考えてるかわかんねーだろうが」

 キースは詰まって黙った。

 で、そっぽを向いたと思ったらハァ、とため息をついた。

「……レベッカに拾われる前に、いろいろあってな。警戒してたんだ。だが……そうだな。無意味に警戒しても無意味だな」

「なんだそりゃ?」

 そりゃ、意味ねーことをやっても意味ねーだろうよ。

 それからキースは普通に話すようになった。


 つーか、コイツってクソ真面目だけどクソ口が悪い。腹の中で何考えてるかわかんねーヤツよりゃいいけどよ。

 でもって、キースが普通に話すようになったらジェシカの態度がますます悪くなったんだけどよ?

 なんでだよ?

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