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悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
Tubling
異世界恋愛ロマファン
2025年07月11日
公開日
3.3万字
連載中
◆書籍第一巻、ツギクルブックス様から発売中! ◆コミカライズも配信中!Palcy様にて先行配信、コミックDAYS様、pixivコミック様にて追っかけ連載中です!! 各配信書店様にて1位獲得! コミックス第一巻5/29発売、第二巻は7/30発売です! 目覚めると大好きな小説「トワイライトlove」に登場する悪役令嬢オリビアに転生していた。 前世は3児の母、ワンオペで働き詰めていたら病気に気付かず死亡……私の人生って… 悪役令嬢オリビアは王太子の事が大好きで粘着質な公爵令嬢だった。王太子の婚約者だったけど、ある日現れた異世界からの聖女様に王太子を奪われ、聖女への悪行三昧がバレて処刑される結末が待っている。 転生した先でもバッドエンドだなんて、冗談じゃない! 前世で夫との仲は冷え切った関係だったし、結婚はうんざりだった。 王太子殿下は聖女様に差し上げて、私はとにかく処刑されるバッドエンドを回避したい。 そう思って領地に引っ込んだのに……「躾のなっていない猫には、主からの調教が必要だな」王太子殿下が領地にまで追いかけてきます。 せっかく前世での子育てスキルを活かして、自由気ままに領地の子供たちの環境を改善しようとしたのに 殿下の執着という名の溺愛が止まりません! 中身は30代の包容力抜群子供大好き公爵令嬢オリビアと、ちょっぴり強引で俺様なハイスぺ王太子殿下との恋愛ファンタジーです。 他サイト様(アルファポリス、エブリスタ、ベリーズカフェ)でランキング1位獲得作品です^^ ※少しミステリーな世界観ありです。ざまぁ、グロはなし。 ※健気な主人公が大好きな方は応援よろしくお願いします! ※ラブコメ要素あり、最後はハッピーエンドです。

第1話 目覚め


 だんだんと呼吸が浅くなる……あぁ…………そろそろお迎えが来るのね……

 私の周りで3人の子供たちが泣いている……その隣りで夫が何か言っている………………後悔があるとすれば子供たちを残していく事。



 ごめんね、こんなお母さんで…………幸せに……な…………て……――――――――――



 プツンッ。



 私の意識はそこで途切れ、暗闇へと落ちていった。



 ∞∞∞∞



 最期はお迎えがくると思っていたのに……来なかったな………………


 ゆっくり目を開けると、眩しいほどの日差しと美しい模様の天井、そしてシャンデリアが輝いている。ここが天国ってやつね……なんて綺麗………………うっとりと浸っていると、意識がはっきりしてきたのでゆっくりと起き上がってみた。

 さっきまで病院のベッドで寝たきりだった自分は、まるで中世ヨーロッパのお姫様になったかのような部屋の豪華なベッドで寝ていた。ベッドの寝心地はまさに天国のようなフカフカさで、ずっと寝ていたいと思わせるほど。

 でもここは……天国?


 何かおかしい…………天国に行った事もないのにおかしいも何もないのだけど、明らかに人が住む家のように見える。



 あの時、確かに命は尽きたはずだ――――――


 私は末期の乳ガンだった。3人の子供の母で、子育てしながら朝から晩まで働き詰め、病気に気付く間もなく働いていたら症状を発症し、時すでに遅しという状況に…………30代と若かった事もありあっという間にガンは転移し、そのまま亡くなった…………はずだ。


 私の周りで子供たちが泣いている姿を見たし、夫もそこにいた――――全く子育てに無関心で家事も無頓着な夫。


 そう、私はほぼ一人で全て回していたのだ。

 子供たちは可愛かったけど、夫に対しての気持ちは冷え切っていた…………最後も何か言っていたような気がするけど、大方私がいなくなったら子供たちはどうするんだとか、そんな事でしょうね…………辛辣な言葉しか出て来ない。来世があるのなら結婚はうんざり。子供だけ育てて生きていけたら、どんなにいいか。


 考えがぐるぐるしていると、ふいに扉がトントンとノックされる。自然と「はい」と返事をすると、扉がそっと開かれた。



 「あ、お目覚めになられましたか、お嬢様……」



 私の顔を見て心底ホッとしたような表情をした、この可憐な女性は誰?全く記憶にない可愛らしい女性の登場に戸惑いながら、彼女の顔を見つめていた。

 あまりにもジーッと見つめていたせいか、その女性は私の顔を覗き込み心配そうに額に手を当てる。


 「お熱は下がられたようですね……まだボーっとしますか?オリビアお嬢様」



 オリビア?今、オリビアと言った?

 私を見てオリビアお嬢様と言ったその女性は、何か間違った事を言っただろうかとキョトンとしている。

 目が覚めた時、確かに少しだけ違和感を感じていた……まさか、と思い可愛らしい掛け布団をよけてベッドから下り、立ち上がろうとすると眩暈で立ち眩みがする。



 「お嬢様!」


 すぐにその女性が駆けつけて支えてくれた。


 「申し訳ないんだけど……ドレッサーのところまで支えてくれる?」


 「承知いたしました。でも、無理はなさらないで下さいね……高熱で6日ほど寝込まれていたのですから……」

 「6日…………」


 その言葉にも驚きを隠せなかったけど、とにかく確認しなければ。でも、流石に脚に力が入らない……何とか力を借りて、重い体を引きずりながらドレッサーまで辿り着く。小さな椅子に座らせてもらい、自分の顔を鏡に映すと、世にも美しいお姫様がそこにいた。


 この美少女は、どちら様?


 ツヤツヤのラベンダーピンクの髪が腰の辺りまで伸び、陶器のような白い肌にほんのりピンクがかった艶の良い唇は形が整っている。世の男性が見たら誰もがその唇に触れたくなるに違いない。


 「これが、私?」



 家事のし過ぎで荒れ放題だった手は、指先まで綺麗に手入れされているし、何もかもが自分のものとは思えなかった。そんな私の様子を見ていた女性が誇らしげに言う。


 「はい!お嬢様は世界一美しいのです。寝込んでいましたので少しお痩せになられましたが……でも美しさは全く変わりません!」



 ……なんて可愛い事を言ってくれるのかしら、抱きしめてあげたい。ところどころで30代だった自分が出てきて、お姉さんのような気持ちになってしまうのだった。





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