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第6話 厄除師という存在。②


 そんな澱みから生まれたモノを鎮める為。とある男が、この地に配属された。


「いやぁ〜、すんごい澱んでいるねぇ。ぼく一人だけじゃ大掃除が難しいかもしれないねぇ。というか、無理だわ。コレ」


 山のてっぺんから見下ろしながら、他人ごとのようにあっけらかんと言葉にする若き男。

 ふっくらとした顔つきに、空のように澄んだ瞳の人たらしの下がり目。血色の良い見た目は人好きの印象が強い。

 風が、横殴りし銀色に近い白い髪は、流れるように一つ縛りのポニーテール。この時代には場違いなスーツも風に吹かれ大きく揺れる。

 空気が、コバルトブルーと漆黒が混ざり都全体が覆われている中。魑魅魍魎、小鬼、夜叉などになった〈元人間〉が好き勝手に暴れている様子を視界に入ってきた。


「……まず、コレらを浄化させないとな。そのためには……」

 指に顎を乗せ、ふむ……と思案し、ピンと思いつく。


「それだったら、〈元人間〉の浄化は人間にやって貰えば良いじゃないか!今から、スカウトに行ってきますかね♪」


 そう呟いた男は、足の裏に力を込めこの世界の空気を蹴る。そして、ーー飛び降りた。

 滑らかな空気の層に乗って、更に蹴り上げると前に進む。

 一歩、一歩、前進していく彼。そのまま、目的地である都の地へ向かった。

「あ、その前に……この時代に合わせた服装にしないといけないか。さて、どの人間の服に変えようかねぇ~~?」


 ここから見込みのある人間を声かけをして、一ヶ月後。

 その者たちに条件付きで雇い、結成されたグループ。それが、━━━ 【厄除師】である。


 後に。スカウトした彼は皆から尊敬され、〈公主〉呼ばれることになる。そして、現在の彼は〈社長〉と呼ばれているのは別の話にて ━━━



 この内容は、俺が当主見習い中だった頃に教わった記録一部だ。

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