龍頭街。比較的新しい通りだ。
その新しい通りであっても、
昔からいました的な店が軒を連ねていて、
時間感覚がおかしくなる。
シアンは、龍頭街の物の怪を退治していた。
ほっとくといくらでも出てくる。
まったく、ゴミが果て無い感じだ。
しかし、ゴミとたとえたものの、
ゴミはほっとくとさらにゴミが増える。
ここに捨ててもいいということになってしまう。
そういうことはよくないから、
ゴミは定期的に回収してちゃんとあるべき場所に集めて処理。
…するのが、風水師の仕事に近いなーと、シアンは思う。
正義の味方っぽく思って始めたけど、
なんか、ゴミ処理のお兄さんになっていないかと思う。
「やぁ」
眠そうな声がかかる。
先輩風水師の、ケージだ。
「根詰めると、邪気にやられるよ」
「そんなこと言っても」
「呼吸するように、邪気を流すように、そうやれば少し違うよ」
「呼吸?」
「流れに返すんだよ。大きなこの町の流れにね」
「そんなこといわれても…」
シアンは戸惑う。
大きな流れがいまいちつかみづらい。
ケージはにっこり笑った。
「むきになって汚いところだけお掃除しててもよくないよ」
「うーん…」
「町を歩いて、みんなと会話して、そして、物の怪がいれば退治して」
「それでいいんですか?」
「うん」
ケージは屈託なく笑う。
「だって、町の空気をまずは流さなくちゃ。風水師ってそういうものだよ」
「風水師って…」
「さて、お散歩お散歩。イベントまでにもう少し風を回さなくちゃ」
ケージはその場を去っていった。
シアンは一人残され、
「どうするかな」
と、ポツリつぶやき、
深呼吸を一つして、
「風を回す、か」
龍頭街の階段を上がっていった。
その足取りは少し軽い。