魔獣の山を作っては休憩所へ納品するを繰り返し、ふと空を見上げると空がオレンジ色の夕焼けになった。
「さてと、そろそろ切り上げるか?」
「や、やっとか…‥」
「なんでハバトさんはヘロヘロなんッス?」
「お前ら、この数の魔獣と戦って余裕なのかよ!」
「「うん!」」
「マトモな人間はオレだけみたいだな……」
失敬な!
規格外のオレはともかく、アインはまだ人間だと思うぞ。
ゼェゼェと荒い息を吐くハバトは、リーンの森の出入り口に入るとへたり込んだ。
門番をしている兵士学校の教官が、慣れたように言えない表情で頷いた。
「ハバトさんお疲れ様」
「お、おう。悪いが明日からノーチラスさんとアインのの面倒を見てくれないか?」
「せっかくの申し出だけどお断りします」
「ちょっ、そこは頷いてくれよ!!」
あ、うん、大の男のハバトさんが半泣きになって門番さんの肩を掴んだな。
彼を振り回しまくったのは理解しているが、一番悪いのは魔獣が大量発生しているリーンの森だろ。
俺は心の中で責任転換をしていると、隣いるアインが呆れたような視線をハバトへ向けた。
「ハバトさんはほっといて魔獣の山を置いてサハクで帰りたいッスね」
「え? ココからサハクまで馬車で三時間半かかりますよ」
「ダンナが魔法の箒を持ってるッスから都市の閉門まで間に合うッス」
「な、なるほど……。では、後ろにある魔獣の山はコチラで回収しますね」
「「よろしくお願いします」」
よし、コレでサハクに帰れる。
後始末を門番さんとハバトへ押し付けた後、俺とアインは自分の荷物が置いてある倉庫へ向かう。
「しっかし今日は魔獣が多かったな」
「ッスねー。まあ、事前情報があった分、対策は出来たのは良かったッスよ」
「そこはお前の情報のおかげだ」
「ふふっ、ダンナの役に立てて良かったッス!」
やっぱアインの情報屋としての腕は信用出来るな。
いい笑顔でアインは俺の左腕に抱きついてきた。
休憩所内にいる関係者から「リア充爆発しろ」みたいな視線を感じる。
早く帰ろう。
周りの嫉妬で殺されるのは嫌なので、俺は冷や汗を流しながら倉庫に置いてある魔法の箒を回収していく。
「これ以上は問題が起きなければいいけどな」
「アタシの予想ッスけど、悪い方向に転がりそうッスよ」
「だよな……」
今の状況的に嫌な予感はめっちゃするんだよな。
不幸や不運は重なりやすいのは現実あるあるなので、俺は
今日も元気にバーの開店をしますか。
半ば現実逃避するように、俺はアインと共に休憩所の敷地外からでる。
そのまま魔法の箒を跨り空を飛び、約二十分ほどでサハクの門前へ降りていく。
⭐︎⭐︎
サハクの南区にある自分のお店、
ココ数日、日持ちのする食材をメインに下拵えをしたおかげで、店の営業に支障はあまりない。
いつも通り静かな店内で、カウンター席に座っているアインへ料理を振る舞う。
「相変わらずダンナの料理は美味しそうッスね」
「そりゃ良かった」
今日のメニューは豚肉に近いオーグ肉を使った生姜焼きに千切りのキャベツ、ポトフと白い小麦粉を使ったナン。
割と豪華な料理なので、俺もアインの隣に座りながら自分の分を食べ始める。
「んー、悪くはないがもっと改良できそうだな」
「アタシからすれば今でも十分な気がするッスよ」
「だといいが……」
「ダンナ的に思うところがあるんスね」
「まあな」
そりゃお客さんから全く来ないからな……。
エターナルが開店して来たのは、アインを除けばはハバトとリリサさんくらい。
別に趣味でやっているからお金の問題はないが、お客さんが来ないのは心に来る。
「あんまり考えない方がいいッスよ」
「そ、そうだな……」
「てか、逆にココが人気になるとダンナが倒れそうッス」
「過労で倒れた事なら数えきれないほどあるぞ」
「おおう、マジッスか」
「ほんとほんと」
今世でも倒れまくったが、前世の社畜をしていた時は過労で何回も入院した。
過去の嫌な記憶を思い出しつつ、俺はオーグ肉の生姜焼きをナンに挟んでかじりつく。
やっぱ醤油と生姜の味付けはいいよな。
美味しい料理を食べるのは幸せなので、俺は嫌なことは忘れで食事を続ける。
すると右隣に座るアインが、苦笑いを浮かべつつ勢いよくお冷を飲んだ。
「よくダンナは生きていまスね」
「いや、ガチで一回死んだぞ」
「おおう……。次に目を覚ました時は治療院だったスか?」
「そうそう」
三十連勤で倒れた後、次に気づいたら赤ちゃんになっていた。
なんか微妙なズレを感じるが、ある意味で合ってるのでそのまま話を流していく
「色々とお疲れ様ッス」
「ありがとう。っと、そろそろ話を変えてもいいか?」
「もちろん、なんの話をしまスか」
「んー、とりま互いに一番関係のあることだな」
「と、いうと?」
「今日の狩りで違和感を覚えたんだよ」
「それって変な視線の件ッスか?」
「ああ」
コチラをつけている相手がいるが、
サハクに戻ってきた時は変な視線は感じなかったので、おそらく休憩所の関係者っぽい。
しっかし誰につけられてるんだ?
氷魔法の探知を使い広範囲を詮索したけど、狩りの途中は俺達三人以外は人は見かけなかった。
「アタシは変な視線よりもリーンの森で魔獣が大量発生している方が気になるッス」
「そっちは何が原因か予想できるんだよな」
「マジッスか!?」
「ま、魔力の流れを見るとわかりやすかったんだよ」
「魔力の流れ?」
優秀な魔力を持っている人は稀に魔力の流れが見える。
そのおかげで俺は自分の銀色の魔力も見えるが、他の魔力の流れが見える。
「そうそう。今日リーンの森へ入った時、真っ黒な魔力が周りを支配してたんだよ」
「真っ黒な魔力ってなんスか?」
「簡単に説明すると、ダンジョンから出てくる魔力の色だな」
「は、はい!?」
広大な森を支配するほどの魔力量。
おそらく大きなダンジョンがリーンの森の中に出来たせいで、住んでいた魔獣達が追い出された。
自分の中で考えた考察をアインへ伝えると、彼女は手に持っていた金属のフォークを手元から落とす。
「じゃあ下手すれば大変なことになりませんか?」
「
「ですよね!」
まあでも、俺だけじゃどうにもならないんだよな。
流石にスタンビートを俺一人で相手するのはほぼ無理。
そのため自分の使える