終末 Durability. Ingenuity. Yield. ~死は棚卸し。命は備品。それでも、我々は抗う。~
八月 猫
現代ファンタジー都市ファンタジー
2025年07月17日
公開日
4.3万字
連載中
未曾有の大崩壊が全てを奪い去った世界。
残されたのは瓦礫と異形の影、そしてホームセンターだけだった――。
深夜のアルバイト中、突如として世界を襲った白光。
ホームセンター「生活館」で目を覚ました天野創真(あまの そうま)が見たのは、文明が崩壊し、異質な脅威が跋扈する変わり果てた世界だった。
電気も水も途絶え、食料も僅か。
絶望的な状況の中、創真は店内に残された膨大な商品こそが、生き残るための唯一の希望だと気づく。
工具、建材、園芸用品――かつて人々の生活を支えた品々は、今や過酷な終末世界を生き抜くための武器となり、糧となる。
やがて創真は同じように生き残った数名の生存者たちと出会い、崩壊したホームセンターを最後の砦として共に生きることを決意する。
元自衛官の佐々木徹(ささき とおる)、薬学を学ぶ白石恵(しらいし めぐみ)、そして兄妹の佐藤悠真(さとう ゆうま)と佐藤花(さとう はな)。そして、崩壊の際に店内で行方不明となった大学生の遠野結衣(とおの ゆい)もまた、過酷な運命に翻弄されていた。
彼らは限られた物資を分け合い、知恵を絞り、力を合わせる。
しかし、外の世界の脅威は想像を絶するものだった。
飢えた変異種、物資を奪い合う荒くれ者たち、そして未解明な大崩壊の謎。
容赦なく襲い来る困難の中で、彼らの命はまるでホームセンターの備品のように次々と失われていく。
さらに、この異変の背後には、謎めいた組織の影が忍び寄っていた。ホームセンターの異常事態を察知し、特殊な装備で活動する「黒服の二人組」。
彼らの登場は、この終末世界が単なる災害ではなく、何らかの意図を持った「計画」の一部である可能性を示唆する。彼らは敵か、味方か、あるいは新たな脅威となるのか――。
それでも、彼らは抗う。
耐久性(Durability)のある物資を駆使し、創意工夫(Ingenuity)を武器に、わずかな希望という収穫(Yield)を信じて。
これは、絶望の淵で、ホームセンターの商品とDIY精神を頼りに生き抜く人々の過酷で壮絶なサバイバル物語。
彼らは明日なき世界で何を見出すのか――。