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最恐魔王の俺が魔法少女に転生した。しかも年下天然いじられポジだと?!
最恐魔王の俺が魔法少女に転生した。しかも年下天然いじられポジだと?!
一兎
異世界ファンタジー冒険・バトル
2025年07月18日
公開日
5,044字
連載中
 最恐を自負する魔王、アクト=ミハイル=ブルームスター=イーゴルイビル三世》は、腹心の部下の裏切りに斃れるも、持ち前のタフさでその肉体を失うにとどまる。  肉体が朽ち行くとともに、彼は部下への復讐を誓うも、彷徨う魂の部屋で寄って来た魂に騙され、今まさに死に直面する肉体に入り込んでしまう。  その持ち主は、聖なる力で仲間とともに悪と戦う魔法少女、天然ドジっ娘、シトリンだった。

第1話 裏切り

 ピシャッ。

 ゴロゴロゴロゴロゴロ……。


 今にも崩れ落ちそうな石積みの塀に、黒い瘴気に薄汚れた外壁。

 暗雲立ち込め、常に雷鳴が響く高原の岩肌に聳えたつその城は、魔王城の名に相応しく、禍禍しい威容を放つ。


 そんな城も中に入れば超快適。使い魔どもの魔力により、常に最適な温度湿度と明るく清潔な環境が保たれている。

 その最奥の、最も広く豪奢で瀟洒な部屋がインテリアにもうるさいこの俺様の棲家だ。

 その日も俺は、そのさらにそのど真ん中にある黄金の玉座に腰掛け、いつもと同じように、腹心の配下ベルゼホーンから血色のワインを受け取った。

 髑髏を模ったワイングラスは、禍々しくも美しい。

 グラスと同じ材質のクリスタルの皿の上には、血の滴るステーキ肉が。


 ちびちびるなど、せこい真似は性に合わない。王者の風格でそれを一気に飲み下すと、俺は傍で跪くベルゼホーンに問いかけた。


「で、今日の報告は……ぐ、ぐごがっ」


 俺は思わず喉を抑えた。

 おかしい、息が苦しい。


 まさか……、まさか、さっきの酒に何か入っていたのだろうか。

 口に手を入れ、さっき流し込んだ液体を懸命に吐き出そうとする。


 しかし、俺に毒は効かないはずだ。だから無論、毒味係なども用意してはいないのだが。


 はたと見ると、ベルゼホーンの奴がニヤニヤ嗤いながら俺を見ていた。


「き、貴様かベル……。言えっ、俺に何を飲ませたっ」

 片手で喉を抑えつつ、もう片方でヤツの襟首を掴むと、ベルゼホーンを恫喝する。


 だが、俺の力で身体を宙に浮かせながらも、ベルは薄笑いを浮かべるだけ。


「がっ……はあっ」


 とうとう俺は、座った姿勢を保ちきれずに、床に両手を突いて突っ伏した。

 異様な色の吐瀉物が、紅の絨毯に沁みてゆく。

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