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第7話 合体

 弾かれたように、俺はその道を走り出した。


 走るうちに、いつの間にやら以前の形に戻ってきている。すげえ、ちゃんと走る足がある!

 道のりは、思うほど遠くはなかった。

 なぜならそいつは、あの桜色の言う通り強い引力で俺を引き寄せていたから。


 しかし凄まじいスピードだ。近づくにつれ、そいつは引力を増してくる。実感を伴う熱く大きな光となって、目の前に迫ってくる。

「くっ」

 俺は歯を食いしばった。

 さすがにヤベェな、このままでは桜色の言ったとおり、本当に俺はアイツに吸収される。アイツの養分の一部となって、自我のないただのエネルギー体に成り果てるだろう。


 だがもう、後戻りはできない。

 黄色い光はもう太陽みたいに熱く、間近に迫ってきているから。

 やつの光が直前に迫る。


 無理だ、俺死ぬ!

 俺は思わず目を閉じた。

 が、ちょっと待て。そこで再び思い出した。

 桜色あいつは言った。

『自分から、真っ直ぐそれにぶつかりなさい。吸収されないように、合体するの』

 要は負けんなっつうことだ。俺は無理矢理に目をこじ開けた。


 黄色い太陽は強烈な光を放ちながらも、明滅と膨張を繰り返している。なるほど、アンタもう命が尽きようとしているんだな。

『さあ、行って。あの光が消えてしまう前に!』

 桜色あいつの言葉の意味が分かった。


 さらに近づくと、か細い声が聞こえてきた。

「だれか助けて、怖い、痛い、死にたくないよ。悔しい、負けたくない。ちからちから。ちからが……欲しい」

 あの思念の本来の持ち主のようだ。

 待ってろよ、今から俺が行って助けてやる。世界最強の魔王と言われたこの俺が。

 ま、お前の身体ごと貰うんだけどな。


 黄色い太陽はもう目と鼻の先だ。身体の形を保っていられないほどの強い圧力グラビティで引っ張られる。

 強い光に、閉じてしまいそうな目を無理矢理かっぴらく。


 球体の中に、華奢な女の身体が見えた。そうか、あんたがこの思念の持ち主か。

 ふん、女と合体するなんて、得意中の得意だぜ。

 無防備に身体を大の字に開く。

 っしゃ、来いやンナロー!


「だぁらあああああああああああああああっっ!!」


合体フュージョン


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