弾かれたように、俺はその道を走り出した。
走るうちに、いつの間にやら以前の形に戻ってきている。すげえ、ちゃんと走る足がある!
道のりは、思うほど遠くはなかった。
なぜならそいつは、あの桜色の言う通り強い引力で俺を引き寄せていたから。
しかし凄まじいスピードだ。近づくにつれ、そいつは引力を増してくる。実感を伴う熱く大きな光となって、目の前に迫ってくる。
「くっ」
俺は歯を食いしばった。
さすがにヤベェな、このままでは桜色の言ったとおり、本当に俺はアイツに吸収される。アイツの養分の一部となって、自我のないただのエネルギー体に成り果てるだろう。
だがもう、後戻りはできない。
黄色い光はもう太陽みたいに熱く、間近に迫ってきているから。
やつの光が直前に迫る。
無理だ、俺死ぬ!
俺は思わず目を閉じた。
が、ちょっと待て。そこで再び思い出した。
『自分から、真っ直ぐそれにぶつかりなさい。吸収されないように、合体するの』
要は負けんなっつうことだ。俺は無理矢理に目をこじ開けた。
黄色い太陽は強烈な光を放ちながらも、明滅と膨張を繰り返している。なるほど、アンタもう命が尽きようとしているんだな。
『さあ、行って。あの光が消えてしまう前に!』
さらに近づくと、か細い声が聞こえてきた。
「だれか助けて、怖い、痛い、死にたくないよ。悔しい、負けたくない。
あの思念の本来の持ち主のようだ。
待ってろよ、今から俺が行って助けてやる。世界最強の魔王と言われたこの俺が。
ま、お前の身体ごと貰うんだけどな。
黄色い太陽はもう目と鼻の先だ。身体の形を保っていられないほどの強い
強い光に、閉じてしまいそうな目を無理矢理かっ
球体の中に、華奢な女の身体が見えた。そうか、あんたがこの思念の持ち主か。
ふん、女と合体するなんて、得意中の得意だぜ。
無防備に身体を大の字に開く。
っしゃ、来いやンナロー!
「だぁらあああああああああああああああっっ!!」