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これがメタフィクションってやつですか?
これがメタフィクションってやつですか?
兎月橋
現代ファンタジー都市ファンタジー
2025年07月20日
公開日
5.8万字
連載中
メタい話を平然と繰り広げる世界で、作家を目指す主人公がいろいろとトラブルに巻き込まれていきます。 連作短編(中編)形式で、第一話は「消えた変態オヤジ」! 第一話「消えた変態オヤジ」 作家を目指して日々小説を書いている佐々木部(主人公)はふと、昔好きだった漫画に出ていた変態オヤジのことを思い出す。 変態オヤジの名は虚技構造。どんな変態オヤジよりも創造的な変態行為を行う変態だった。 佐々木部は漫画編集者の弓本とともに、変態オヤジたちが集う煩悩寺を目指す。 しかし煩悩寺につくと、意外な事実が判明する……。

1:消えた変態オヤジ

プロローグ

   *


 昔憧れていたあの人は、みんなから嫌われていた。


 煙たがられ、遠ざけられ、虐げられ、拒絶されていた。


 あの人は積極的だった。そして強引で、自分勝手で、周囲の気持ちではなく自分の欲望に忠実だった。


 僕は毎週あの人に会うのを楽しみにしていた。


 僕だけではない。多くの人が、そんなあの人のことが好きだったのだ。


 嫌いなふりをして、あざ笑うようなふりをして、興味がないふりをして、好きだった。


 あの人を見なくなってから、どれくらいの月日が経ったのだろう。


 つい昨日まで、僕はあの人の存在すら忘れていた。


 昔あれだけ大好きだったのに、今では僕はあの人のことなんか全然好きではなかったかのように振る舞って生きている。


 誰もがあの人の存在すら忘れている。


 思い出す必要もないと思っている。


 あるいは知らないふりをしている。


 僕はふと、こう思った。


 あの人は今もどこかにいるのだろうか。それとももう、跡形もなく消えてしまったのだろうか。

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