晴日和
恋愛S彼・俺様
2025年07月23日
公開日
6.5万字
連載中
私は本の中に入ってしまった。
良いニュースは、主人公の妹・小林夏希になったこと。しかし、悪いニュースは――家産を巡る争いで、兄は私を殺したいほど憎んでいること。
家に帰れず、バーで身を隠していたが、そこで自分の理想通りの容姿と体型を持つ男性・修と出会う。しかし、相手はどうやら私が提示した金額に満足していないようだ。
(大丈夫、こっそり兄のお金を使って彼を養う!)
小林光一は、妹が記憶喪失を主張してから、まるで別人のように彼に媚びてくることに気づいた。
彼は冷笑しながら思う。「こうすれば俺が情けをかけるとでも思っているのか?」
ある日、夏希は電話で間接的に「お金がない」と伝えると、光一は不機嫌そうに「それで?」と言って電話を切った。
だが、夏希はメッセージを開けると、そこには【小林光一があなたに振込をしました】という通知が。
仕事に忙殺されて、数日間自分の“恋人”にメッセージを送る暇がなかった。気づくと、会社のアーティストと熱愛報道が出てしまった。
慌てて修にメッセージを送ると、相手は気遣いながら「気にしていないけれど、今会いたい」と伝えてきた。
夏希はこの小さなお願いを断ることなく、その晩、彼の家に向かう。
家に入るとすぐに壁に押しつけられ、腰に腕を回されてしっかりと捕まえられた。
彼の声は異常に冷静だった。「遊び飽きたから、別の人と遊びたいのか?」
暗闇の中、彼の漆黒の瞳からは抑えきれない狂気が漏れていた。