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ー鼓動ー19

 だけどさそこは人間なんだから、そういう風に感想を求めてくる奴っていうのは腹が立つ。 あ、いや、俺からしてみたら、歩夢と朔望にだけになのかもしれねぇんだけど。


「はいはい、良く出来てましたよ」


 そう適当に答えておいた。実際、コイツにいい評価なんかした時には舞い上がりすぎてうるさいだけだからだ。ま、そういう事であんま褒めたくはない。


「……って、兄さん、俺の事、本当にちゃんと見ててくれたの? 確かに兄さんからしてみたら、まだまだ全然なのかもしれないけど、それでも、頑張ってやってたんだからねぇ」


 ってか、気のせいだろうか。歩夢のその言い方だと謙虚しているようにも思える。


「……へ?」

「……って、今の僕の話聞いてなかったの!? だから……」


 そう言い始めた所で、俺はもう一回聞くのがめんどくさくなったのか歩夢の口を手で押さえるのだ。


「あ、いや……だから、聞いたって、同じ事を二度も言わなくていいから」

「じゃあ、どうだったの?」

「だから、それは普通にだって」

「ま、望兄さんからだとそれ位しか言えないか」


 ……そうじゃなくて、お前の場合、褒めたら、天狗になんだろうが、それが、めんどくさいの!!


 そう俺的には突っ込みたかったのだけど、ただただコイツと話しているとめんどくさかったから言わない方がいいと思いそこで黙っておく。


「それよか、腕離してくれねぇ? ってか、お前さぁ、朔望っていう恋人がいるのに、よくこんな事を俺に出来るよな」

「え? ハグ位ってアメリカからしてみたら普通に挨拶程度だし、ま、確かにアメリカでもキス以上の事をしたらアウトかもしれないけど、ハグは完全にセーフでしょう!」


 ……あー、やっぱり、コイツも朔望と一緒で、ああ言ったらこう言うタイプなんだったけな。


「あのな、そりゃ、お前達はアメリカでの暮らしが長かったかもしれねぇんだけど、ここは日本なんだからな、そろそろ日本の文化に慣れて来た方がいいんじゃねぇのか?」

「……ってか、望兄さんこそ、そういう事に敏感になりすぎなんじゃないの? しかも、僕達の場合には兄弟なんだしね。寧ろ、それ位いいじゃん! って思うんだけどな。ってか、もっと、心広くした方がいいと思うよ」


 やっぱり本当に歩夢も何か言うとこうやって直ぐに返して来るタイプだ。ホントめんどくせぇ。


 ホント、朝からコイツ等がいると頭を抱えたくなってくる。


「……って事は、まだ離れない気なのか?」

「え? まだ、いいんじゃない? だって、ご飯出来てないみたいだしね」


 ……って、おい! その時まで俺に引っ付いてる気なのかよ。ってか、コイツ等は何で今回この島に来たんだ? 親父は何となく分かるとしてもだな、コイツ等がこの島に来た理由っていうのが分からねぇんだけど。

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