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ー鼓動ー43

 やはり和也達はお昼休憩を取っていたのか朔望達四人全員がリビングに集まっていた。


「用意は済んだのか?」

「あ、ああ、まぁな……」

「それにしちゃ、降りて来るの遅かったんじゃねぇのか?」


 と相変わらず和也は俺達の事を茶化して来る。


「まさか、用意するフリして、体を重ねていたとか?」


 相変わらずな和也に雄介は和也の近くへと向かうとこうプロレスの技みたいなのをかけたようだ。そう俺には全くもってそういった知識がないもんだから、多分、プロレスの技なんじゃないかという事だ。


 そう首辺りに腕を回して腰の辺りに足を回してるっていう感じでいる雄介。


 そんな技で和也の事を苦しめていた。ま、雄介の事だから完全に力を抜いているのかもしれないのだけど、ホント和也というのは痛がるとかという表現をする時というのはオーバーリアクションなのかもしれない。


「あ、ああ! ちょ、ちょー、雄介っ! た、タンマ、タンマー!! 分かってるって! あくまでふざけて言っただけであって、ちょー! あー、マジ、マジに! 雄介にそんな技かけられたら死んじまうからー!」

「アホかっ! 本気でお前にこの技掛けてもうたら、本気で死んでまうやろなぁ」

「いやいや……今のでも十分強いんですけどー! 自分の加減っていうのを知らないだろー!」


 和也っていうのは本気で言ってるのか? ふざけて叫んでいるのか? っていうのは分からないのだけど雄介の方は全然手加減してるつもりなんだろう。


「和也は大袈裟なんやって。それに、そんな時間で出来る訳がないやろが!」

「分かったって! マジに勘弁っ!」


 和也はそう雄介に向かって手を合わせてまで謝っている。


「それなら、ええねんけど……」


 そう言うと雄介はやっとの事で和也の事を離すのだ。 


 そんな二人のやり取りに笑っているのは何気に裕実だった。


 本当にあの二人というのはいつもあんな感じでもある。


 男の友情っていうのは普通はあんな感じなんだろう。いや元から和也と雄介に関しては男らしいと言った方がいいのかもしれない。雄介だって裕実も友達な筈なのに裕実にはああいう技的なもんは掛けないのだから。いや、そこはちゃんと人を選んでやってるっていう事なのかもしれないという事だ。

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