目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

ー鼓動ー62

 そう雄介と語っていると、その番組は終わってしまったようだ。


「丁度ええ所で終わったし、風呂に入ろうか?」

「え? あ、ああ、そうだな」


 その雄介の一言で俺はソファから立ち上がる。


 そして今は二階の部屋へと部屋着を取りに行くのではなく、一階に置いておいたスーツケースの中から服を取り出すのだ。


「そういやさ、朔望達に服送ってやった方がいいんじゃねぇのか?」

「せやけど、そういう場合さ、俺達と一緒に荷物が届いてまうんやないんかな?」

「あ、確かにそうなのかもしれねぇな、なら、いいか」

「そういうこっちゃな」


 俺と雄介はそう話すと洋服を持って脱衣所の方へと向かうのだ。


 久しぶりに帰って来た家だったのだが、朔望達が使うようになってからは色々と変わってしまっているようにも思える。


 確かに趣味というのは人によって違うもんだけど雄介の趣味と朔望の趣味だってどれだけ違うのか? っていうのも分かる。


 タオルの畳み方だって洋服の畳み方だって人によって違いが出てくるもんなのだから。


 勿論、消耗品だって人によって違うのであろう。


「朔望達っていうのは、俺達とは違い洗濯洗剤使ってるんだな」

「あー、まぁ、そやね。俺の方は匂いがあまりキツくないのにしてるしなぁ」

「そうだったのか!? そんな事、今まで気にした事なかったな」

「ん? まぁ、そやろな。今の時代っていうのは、沢山、洗剤の種類とかっていうのはあって、その中から自分に合った物を選ぶのは大変なのかもしれへんけど、でも、コレっ! って決めてからっていうのはずっとそれやからな」

「そうだったのか!?」


 俺は洋服を脱ぎ終えると雄介と一緒にお風呂場へと入って行く。


 もう二人でお風呂に入るのは慣れた事だ。


 寧ろ島では和也と裕実が一緒に入る事が多いのだから、逆に一緒に入るっていうのか……裕実がそうしてくれたっていうのかな?


 そう裕実というのは俺の背中を押してくれる一人でもある。


 雄介の事で俺が迷ってると裕実からの一言で俺の体が動くようにしてくれるからだ。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?