「ん? あ、ああ……」
とその雄介の言葉に少し拍子抜けそうになる俺。
もうちょっとイチャイチャするのかと思っていたからなのかもしれない。
そして本当に雄介は起き上がって洋服へと着替え始める。
そういう所、雄介は真面目なんであろう。
仕方なしに俺も着替え始める。
「あんな……飯どないする?」
「どうする? ってどういう事だ?」
「確かに昨日は買物に行ったんやけど、朝飯買うの忘れておったっていうんか、なんていうんか」
「……って忘れたんだろ?」
「まぁ、そういうこっちゃ……」
「じゃあ、飯は外で食うか? あー、でも、春坂病院の近くになっちまうけど」
「ま、ええんやない? どっちにしろ春坂病院に行かなきゃならんのやし」
「あ、まぁ……そうだよな。だから、今日の雄介は朝起きるのが遅かったのか?」
「いやー、違うと思うで……ただ何となく遅くなってきたっていうんかな?」
「そういや、あの海に漂ってからだよな? お前が朝起きるのが遅くなったのはさ」
「そう言われてみればそうやんね……なんか関係でもあるんやろうか?」
「ま、それは検査したら分かる事だし、とりあえず、家出るか?」
「あ、ああ……せやね」
雄介とそう決めると俺と雄介は地下室から二階へと上がって行く。
「あー! なんか俺が起きられない理由が分かって来たような気がするわぁ。ホテルもやしここの地下室もそうやし、お天道さんが光を照らしてくれへんからと違う?」
「あ、そっか……それもあるのかもしれねぇな。 まぁ、海に漂って戻ってからの次の日は疲れていたからっていうのもあるんだろうしな」
そう考えると確かに納得出来るのかもしれない。
今の季節は夏なのだから朝日が昇るのは早いのだから。もし雄介はその太陽の光によって目が覚めているのであれば、ここ二日は光が入って来ないような部屋にいたから起きられなかったという事であろう。
そして俺達は外へと出る。
「ほな、いつもの川沿い歩いて行こ!」
「ああ、そうだな。 あそこが春坂病院までに近道だしな」
そう話すと俺は雄介の横を一緒に歩き始める。
朝のこの時間は住宅街というのはわりと忙しい時間もだったりする。