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第9話 入学前日

### 入学前日


「ハヤト〜! いつまで寝てんだよ〜!!」


 そう叫びながら、カズはハヤトのベッドにダイブした。

 柔らかな感触に、思わず笑みがこぼれる。

 目の前の少年、ハヤトはまだ半分寝ているようで、髪は乱れていて、寝惚けた顔がなんとも言えない愛らしさだ。


「おっ、今日もコッチは元気だな!」


 カズはそう言うと、手をハヤトの布団の中のテントへ滑らせた。

 途端に、堅さと温かさが手のひらに広がる。


「やめてくれ、カズ。出ちゃうだろ!」


 ハヤトは慌てて身をよじったが、カズの手は離れない。

 ニヤついた表情で、カズは言う。


「なぁ、久し振りに扱きっこしようぜ?」


「またか。おまえも本当に好きだな」


 ハヤトは苦笑しながらも、目はまだ完全に覚めていない。

 カズはその反応に満足そうに笑うと、さらに手を動かした。


「だってさ~、春休みになった時に2〜3回出したっきりだぞ? あれっきり出してないんだから別にいいだろ?」


「えっ? おまえひとりで出してないの?」


 ハヤトは少し驚いた表情でカズを見た。

 カズは少し恥ずかしそうに目をそらしながらも、頷く。


「うん。出そうとしてみたけど無理だった。やっぱハヤトにして貰わないと気持ち良くないし」


 その言葉に、ハヤトは少し照れくさそうに頬を赤くした。


「そんなこと言うなよ⋯。おまえ、本当に俺に依存しすぎだろ」


「依存? いや、依存ってほどでもないだろ。ただ、ハヤトの手が一番気持ちいいって言ってるだけじゃん」


 カズはそう言うと、さらに手を動かす。

 ハヤトは思わず小さく喘いだ。


「やめろって⋯。今日は入学式の前日だぞ。こんなことしてたら、朝も夜も同じだ」


「朝も夜も同じって、つまり⋯夜もしてるってこと?」


 カズは意地悪そうに目を細める。


「いや、そんなこと言ってないだろ⋯」


 ハヤトは言葉に詰まりながらも、カズの手を止める気配はない。

 カズはそれを良いことに、さらに大胆に動き始めた。


「なぁ、ハヤト。ちょっとだけ、いいだろ? 入学式の前日だし、お祝いってことで」


「お祝いって⋯入学式が終わってからにしろよ」


「でも、今日は特別な日なんだよ。もう小学生じゃなくなるんだからさ。最後の小学生として、ちょっとだけお祝いしていいじゃん」


 カズはそう言うと、ハヤトの耳元で囁いた。


「それに、オレたちの秘密の時間も、この先どうなるかわかんねーし」


 その言葉に、ハヤトは少し表情を曇らせた。


「⋯そうか。中学生になったら、部活とかで忙しくなるしな」


「うん。だから、今日くらいは、ちょっとだけ特別にしてもいいじゃん」


 カズはそう言うと、ハヤトの唇に軽くキスをした。

 ハヤトは少し驚いたが、それを受け入れるように目を閉じた。


「⋯わかった。1回だけだぞ」


「やった!」


 カズは喜びの表情を見せながら、ハヤトのシャツを脱がせ始めた。

 ハヤトもそれに合わせるように、カズの服を脱がす。


 ハヤトの部屋には、静かな朝の光が差し込んでいる。

 カーテンの隙間から見える空は、澄み切っていて、春の訪れを感じさせる。


「なぁ、ハヤト。この先も、ずっとこうしてていいかな?」


 カズはそう言いながら、ハヤトの首筋に唇を這わせた。


「⋯どうかな。でも、おまえが望むなら、俺はいいよ」


 ハヤトは少し恥ずかしそうにそう答えた。


「やった! じゃあ、約束だぞ?」


「約束って、そんなの無理だろ。中学になったら、環境も変わるし」


「それでも、オレはハヤトと離れたくない」


 カズは真剣な表情でそう言った。

 ハヤトはその言葉に少し驚きつつも、心の奥深くに温かさを感じた。


「⋯わかった。じゃあ、約束しよう。中学になっても、ずっとこうしていよう」


「本当? やったぁ!」


 カズは喜びの声を上げて、ハヤトに抱きついた。

 その勢いで、二人はベッドの上で転がる。


「ちょっと、重たいぞ⋯」


「ごめんごめん。でも、嬉しくて」


 カズは笑顔でそう言うと、再びハヤトの唇を奪った。

 そのキスは、少しずつ熱を帯びて、二人の鼓動は高鳴っていく。


「なぁ、ハヤト。オレたち、もう小学生じゃないんだよな?」


「当たり前だろ。明日から中学生だ」


「そうか⋯。じゃあ、ちょっとだけ大人っぽくしてみる?」


 カズはそう言うと、ハヤトの耳元で囁いた。


「えっ? おまえ、そんなことできるのか?」


「できるよ。俺、意外と大人っぽいとこあるんだから」


 カズは自信満々にそう言うと、再び手を動かし始めた。


 ハヤトはその感触に、思わず小さく喘いだ。


「⋯おまえ、本当に悪魔だな」


「悪魔? いや、天使だろ? ハヤトの天使」


 カズは笑顔でそう言うと、さらに大胆に動き始めた。


 朝の静けさの中、ハヤトの部屋には甘く切ない時間が流れている。

 それは、彼らの性春の始まりを告げるような、特別な時間だった。


「なぁ、ハヤト。俺たち、中学でも同じクラスになれるかな?」


「さぁな。でも、願書を同じにしてあるから、可能性はあるよ」


「やった! じゃあ、絶対同じクラスになろうな」


「⋯わかった。じゃあ、同じクラスになったら、またこうしてもいいか?」


「もちろん! 毎日でもいいよ!」


カズはそう言うと、ハヤトに抱きついた。


「⋯おまえ、本当に俺に依存しすぎだな」


「依存? いや、それは違うよ。俺はただ、ハヤトが好きなだけだ」


その言葉に、ハヤトは少し恥ずかしそうに頬を赤くした。


「⋯俺も、おまえが好きだよ」


 カズはその言葉に、嬉しそうに笑った。


「やった! じゃあ、約束だぜ?」


「約束だ」


 二人は、朝の光の中で、静かに扱き合った。

 それは、彼らの性春の始まりを告げるような、特別な朝だった。




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