ユートピア・オーバードーズ―感情監視社会の少女たち
青羽イオ
SF空想科学
2025年07月31日
公開日
1.2万字
連載中
幸福は感情の檻だった
動物型端末〈コンパニオン〉は、感情を測定するための装置だ。
けれど彼らはかつて、“共鳴する存在”だった。
人間のやさしさに応え、心の動きに寄り添い、ともに生きるものだった。
──それを、私たちはいつから“道具”と呼ぶようになったのだろう。
ある日、少女が消えた。
残されたのは破損したログと、異常値扱いされた「やさしさ」の痕跡。
数値にできなかった感情は、無価値として記録から削除された。
だがなぜ、人と人が、あるいは人と命が「共鳴」することが、
これほどまでに恐れられているのか。
――これは、感情の自由を奪われた未来で、
ほんとうの“しあわせ”を求めた少女たちの記録。
※本作は「カクヨム」「Tales」「Neopage」にて同時掲載しています。
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