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ラスボス令嬢に転生しましたが、最強着ぐるみ令嬢になりました。
ラスボス令嬢に転生しましたが、最強着ぐるみ令嬢になりました。
もいもいさん
異世界ファンタジー冒険・バトル
2025年07月31日
公開日
2.1万字
連載中
 AAAクラスの製作費で作られた乙女ゲーム『最後の世界の物語』のラスボスであり、ゲーム内で主人公を虐め苦しめる作中最大の適役である悪役令嬢フィリーナ・ベルシュタット辺境伯令嬢に転生したわけだけど、なんやかんやで前世の知識を使って最強のネタ装備である『着ぐるみ猫ちゃん』を見つけたまでは良かったが、呪いの装備だったのか最強のネタ装備が脱げなくなり、着ぐるみ令嬢としてゲームの舞台であるオーレリア王国での歴史が始まる――

プロローグ 01

 ベルシュタット辺境伯は武門の家でオーレリア王国では古くから北の要所を守る名家である。


 辺境伯という爵位は古くからあり、ベルシュタット家の為に作られた爵位といってもよい。


 王国が現在の形に至るまで遡る歴史書にも登場するベルシュタットの名は国内では知らぬ者は居ないほど超が付く武闘派で戦乱の時代には多くの英傑を輩出し、冒険者からも多くの英雄を輩出した。


 語られる英雄譚では必ず登場するほどの領地である。そんなベルシュタット辺境伯領では現在、領主夫妻は不在である。


 なぜ? と、問われると王から指名されて仕方なく王都に来ていたいたからだ。


 ここ数代のベルシュタット辺境伯は滅多に登城する事はないと王城では言われている。それも当然で、ベルシュタット領の北には魔の森が広がり常に魔物の侵攻に兵力を割いている。さらに魔の森を隔てる大河ライゼの西側に位置するレルララント王国からの侵攻を常に警戒せねばならない。王国の盾として存在しているからである。


 そんなベルシュタット家だが、王都へ向かわざるを得ない理由があった。


 オーレリア王国のカリオン朝、第14代国王であるリチャード王の正王妃マリアンヌと辺境伯妃リリーナは双子の姉妹で非常に仲が良い。


 そして、同じ年の同じ月に子を産んだ。マリアンヌの子は王子であり、リリーナの子は女の子であった。王は大層喜び、お互いの子らを将来の夫婦とするように辺境伯へ願い出るのであった。


 辺境伯は内心では拒否したかったが、王妃と自身の嫁が乗り気だったせいで認めるしかない流れだったのだ。しかし、自身の子供の未来を勝手に決めるのは如何なものかと彼は取り敢えず顔見せを幾度かして相性が良さそうで有れば婚約するのも吝かではないと王に言うのだった。


 マリアンヌとリリーナは相性が悪い事なんてあり得ないと言っているがベルシュタット辺境伯であるマーカスは一抹の不安があった。リチャードの性格である。正直言って王としても微妙と言わざるを得ない。幼馴染でもあり、王都にある聖ミュルレイク魔法学園で共に学んだ学友でもある。


 いや、だからこそ……知っている。どこまでも性根の腐ったヤツだということを知っているのだ。


 女にだらしなく、優柔不断で逃げ癖がある。時に大胆だが、考えなしで金銭感覚もない。ただ派手好きでないところだけは好感が持てる。この男の良いところは正妃マリアンヌに対してだけは誠実というところくらいだ。


 正妃マリアンヌも大らかな女性で正直に言えば、国政には向いているとは言い難かった。我が愛する妻の妹でなければ、国王夫妻とは出来れば関わり合いにはなりたくないと思っているが――そんなことを辺境伯は自身の妻に言うことは出来ない。武門名高いベルシュタット辺境伯――オーガさえ泣き出して逃げるとも云われる家の現当主にして、数々の伝説を持つ漢の数少ない弱点は愛妻であるリリーナと現在3歳となったフィリーナのことで、きっとオーガもその姿を見れば困惑することは間違いないだろう。


 故に辺境伯は嫌な顔をすること無く、粛々と悪友の我儘に付き合うのであった。


 まさか、大変なことが起こるとはこの時は誰も予想していなかったが――



 星詠の歴1372年、蒼の月17日。


 満月故に夜だというのに視界がある程度は確保されるほどに月の光が王城を照らしていた。この季節の月は蒼い光を帯びており、地上を蒼く染めることから蒼の月と呼ばれている。


 ほんのりと蒼い光に照らされる王城内にある庭では一人の幼女を囲んで皆、混乱していた。


「どうして、こうなったのだ!?」


 ベルシュタット辺境伯は愛娘を抱きしめて苦し気に言った。周囲を囲む者達も彼に何も言えずにいた。


 しかし、この時。既に辺境伯令嬢フィリーナは目覚めていた。思考が纏まらず目が回っていたのは確かであり、気を失っていた間にもしかしたら心停止くらいはしていたのでは無いかと思うほどだ。


(多分コレは夢に違いない)


 そう思うことで何とか自身を誤魔化そうと思った。取り敢えず……まだモヤモヤして眠い。と、フィリーナは意識を即座に手放すのであった。


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