まえがき
人間がいなくなった世界を想像したことはあるだろうか。
電車は停まり、信号は動いておらず、ビルの窓はバキバキに割れている。
誰も歩いていない交差点。
こんな世界に、一匹のネコがいる。
ただ一匹、東京の廃墟を歩き、残された風景を見つめている。
彼は何を思うのか?
何を感じるのか?
そもそも……彼はなぜ生きているのか?
この物語は、人類が消えたあとの世界を旅するネコの記録である。
終わりを見つめる物語であり、ただ生きる意味を探す物語。
ページをめくる前に、少しだけ目を閉じて、想像してみてほしい。
すべてが消えた世界に、君が取り残されたら——。