8ツーらO太!
異世界ファンタジー冒険・バトル
2025年08月10日
公開日
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連載中
「ようやくお見つけいたしました、夜華君(やかぎみ)」
華間(かかん)は華界の花畑に生まれ、蟲間(ちゅうかん)と契る民。蟲間は蟲(むし)として生まれ、唯一人の華間に生涯を捧ぐ僕(しもべ)。
いにしえ、ある王が己の蟲間の命と引き換えに、華界唯一の王位に就いた。だが安寧は続かず、瀕死となった王に啓示が下る――華界はやがて赤(せき)・橙(とう)・黄(おう)・緑(りょく)・青(せい)・藍(らん)・紫(し)の七国に割れ、終わりなき戦に沈む。幾千年の乱を制す王は唯ひとり、幻の"夜華間(やかかん)"を得た者だ、と。
夜華間は闇(やみ)色の髪、象牙色の肌、落栗(おちぐり)色の瞳、そして他者を輪廻転生させる力を持つ。賢王に付き、その国を久しき繁栄に導くとされる夜華間を、七国中が探し求めていた。
人界に生きる男子高校生・黒瀬真宵(くろせまよい)は、幼くして"蟲無し(蟲を惹きつける力のない華間)"と誤られ人界に落とされた夜華間だった。雷雨の夜、真宵は赤蟲間・立羽(たては)に見出され、緑蟲間・翠鎌(すいれん)の追撃を逃れて華界へ転移する。
何も知らず育った真宵は人界へ帰りたいと願うが、帰るためには、華界の上位たる玄天(げんてん)へ行き、七神の許しを得ねばならない。
七国から求められ、狙われ、攫(さら)われ、抗いながら真宵は果たして、無事に人界へ帰ることができるのか。
七色の国を舞台に、真宵の冒険が今、始まる――
序
深き竪穴の底 昼の光も届かぬ幽き地に 誇華の園と呼ばるる秘めたる場所ありけり
その園 年に一度 白き光を放つ
光は ひとつの蟲が 命を贄に供へしときに 蟲の鼓動一〇八度の間のみ 輝き続くものなり
かくして園は その蟲と深く魂を交はした華の 胸に秘めし願ひを ただひとつばかり叶ふる
いにしへのことなり
××王 自らが従へし××蟲間を供物とし 華界唯一の王となりぬ
されど安寧は続かず ××王 傷を負ひて死に瀕し 天よりの啓しを賜はりぬ
今より後 華界は赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の七国に分かたれ 果てなき戦の世とならむ
幾千年と続かむその乱れを制し 勝ちを得し王はただひとり――幻の夜華間を手に入れし者なり、と
夜華間は 闇色の髪、象牙色の肌、落栗色の瞳を持つ者なり
輪廻転生を与ふる力を宿し 賢王に付きて その国を久しき繁栄へと導かん