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ノーマルステージ0102「二つ子の村」

ー①ー


遠い離れた彼の地の草原。

ここでは数少ない緑の森と湖がある。

そしてその辺りに村が二つ隣接している。

この村は元は一つだったが分断されており、争い事などが絶えない。

その村は戒め込めて"二つ子の村"。

そしてその分断された村の真実とは……。


ー②ー


寝静まる晩の父親の吐息。

私はこっそりと静かに夜中遅く家に出る。

獣や家畜を起こさないよう静かに歩く。

そして私は村の境界線の魔法線マジックラインまで立つ。

このラインを超えてしまうと魔力が反応して彼ら村人が気づいてしまうからだ。

今日は見張り台は眠っている。

なぜなら食事に眠り薬を仕込んだからだ。

そして時間通りに待ち合わせの相手もやってくる。


「ルナ!」


「レナ!」


再会した私たちは喜ぶ。

私たちは元は双子の姉妹。

訳あって私たちは分断された村に居なくてはならなかった。

でも、こうして再会して話し合う。

私たちは双子姉妹だけど愛し合っている。

私たちを見ておかしいと思ってるけど気にしなかった。


「ねー、レナ。ジャン達もこの村に出ていくんだって」


「そうなんだ」


私たちみたく密かに会っている者もいればこの村を捨てて出る者も少なからずいる。しかしたいてい外は危険だしこの村みたく恵まれていないのでもし他の村にたどり着いてもよそもの歓迎する村はほぼいないと思う。

それに私たちはこうして密かに会えることが幸せだった。


カンカンと村の鐘がなった。

どうやら見張り者が起きて何かに気づかれたようだ。

私たちは急いで元の家に戻る。

でも、この日が私たちと話せる機会が最期になろうとは……。


ー③ー


「もう、がまんならん!我々でも戦いましょう村長」


「……」


村人達の憤慨に村長と呼ばれた老人は黙ったまま悩んだ。

そしてそこに黒い狼の顎をさする銀髪の黒鎧を着込んだ青年シャンペトルは言った。


「……俺は異形ではなくても人は斬り殺せる……その機会はなかなかないがな」


シャンペトルの身につけてる白の大剣には鋭い切れ味があることがわかってる村長はうなずいた。


「やってくれますかな?旅のお方」


「……ああ」


シャンペトルは早速あの村に向かった。


ー④ー


「グハァ!?」


村の戦士達が次々と倒れていく。

シャンペトル筆頭に冒険者達はこの村を攻め込んだ。

相手の村も冒険者を雇い襲うと思っていたが相手の村の方が支払われる金のはぶりがよかったから、ほとんどの冒険者がそちらについたから不利であった。

火の手が上がる家、畑、牧場。

逃げ惑う村人達を逃さないように殺す冒険者達。

この圧倒的な虐殺ジェノサイドを止めようとする者が現れた。


ー⑤ー


「ずいぶんと派手にやらかしてくれるわね」


「はん!おまえらが言うセリフかよ!!悪党が」


1人の冒険者が事を荒立てる。

目の前に立つ黒装束の女。

彼女から圧倒的な魔力が放たれてることは熟練の冒険者でもわかっていた。


「……けしかけたのはおまえか?」


シャンペトルはそう言うと黒装束の女は微笑んで言った。


「別にけしかけてないわよ。私のチカラを見せたら彼らは崇拝して私のモノになっただけよ?ほら、こんな風にね!」


彼女は杖を取り出して振るうと死んだ村人達がよみがえる。

彼らは死者として生き返り戦闘人形として対峙する冒険者達を襲いかかる。


「……大したことないな」


シャンペトルはなんでもないかのようにゆっくりと襲いかかる死者を赤子のように戦闘不能して斬り殺していく。

顔を少し歪む黒装束の女は無数の死者達をかき集めて巨人を作り出すがシャンペトルの敵ではなく斬り落とすが、


「!?」


彼の表情が呆気に取られる。

シャンペトルの斬り落とした身体の一部が分裂して彼の身体を死者の群れ達が覆いつくしたからだ。


ー⑥ー


「ふふふ。このまま息の根を止めてあげるわ」


しばらくして死者の群れ達がシャンペトルのまわりの山になる。

ほかの冒険者たちは助けたいのはやまやまだが圧倒的に死者の群れの対応するために必死であった。

しかし、事態は急変する。

死者の山が一気に燃やされて灰になった。

そして何事もなかったかのように紅い刀を振り回すシャンペトル。


その一振りで黒装束の女に向かって駆けて一閃する。


彼女の首が綺麗に刎ねられると死者達は活動停止して、村同士の戦争は終結された。


ー⑦ー


「ありがとうございます」


「……」


シャンペトル含む冒険者は依頼の大金を手にする。

シャンペトルのみ依頼金の量に色をつけている。

片方、全滅した村はほとんどの村人が死者だった。

すでに黒装束の女に村人達全員死者として蘇らせていたからだ。

死人を蘇らせることは禁忌である。

すでに関わったものは差別されるから追放される。

そう、もう一つの村はこうして作られていたのである。


ー⑧ー


シャンペトルは村に出るとき湖で飲み水を補給しようと立ち寄る。

そこに水死体が打ち上がっていた。

彼は見覚えがあった。

たしか双子の片割れだったが名前はどちらだったのか思い出せなかった。

そしてシャンペトルは彼女の亡骸を引き上げるとその近くにあった森の地に深く埋めた。

地に深く埋めることは獣などに寄せ付けないためであるし、前みたいにイタズラに死者がさまようからである。

シャンペトルは神の國に旅立つように祈りを捧げた後、相棒ジェイドと一緒に次の村へ向かった。


二つ子の村 0102 Stage clear!

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