「………」
帰る?
あの地獄のような場所に?
でも、ここに居ても…
確かに私は金魚のフンのようだ…
「最後に、一つだけ忠告しておきます。」
「なに?」
私は顔を上げる。
どうして、暁さんといい神桜さんといいこうも背が高いのか。
すると、神桜さんは私に素早く口づけた。
「私はゲイではなくて、バイです。
もし、捨てられて行く場所も無くなったら…私のオモチャとして飼ってあげても良いですよ?」
「…私の事なんか好きじゃないでしょう?
アナタ?」
「だから、オモチャと言ってるでしょう?
暁さんも、そう思ってる事をお忘れなく。」
きっちりと、嫌味を言って行く辺りが神桜さんぽいな、とか、どーでも良い事を考えていた。
神桜さんのオモチャ…
それも悪く無いかもしれない…
いっそ、心が暁さんに奪われたのなら…
本当のオモチャとして暮らすのも、悪く無い。
ま、無いか。
一応恋のライバル、だもんね。
私と神桜さんて。
だけど、女も行けるって事か。
恐るべし、神桜!!!
そして、私は暁さんの所に戻った。
「若い衆が言ってたが、神桜と何話してた?」
暁さんは鋭い瞳でそう尋ねた。
「別に、何も。
言う義務は無いわ。」
「お前な、少しは警戒しろよ。
アイツはただのゲイじゃなくてバイだぞ。
美少女が大好きな、な。」
「別に私は神桜さんの事何とも思ってない。」
「だけど、話すな。
イラつく。
お前は俺のものだ。」
私もその言葉にイラつく、というセリフをなんとか呑み込んだ。
俺の"もの"?
やっぱり私はオモチャなの…?