とにかく私はTシャツにジーンズという動きやすい格好で、髪をポニーテールにして、暁さんについて行った。
隅田川の土手に、沢山の屋台が準備していた。
なるほど、花火の準備、ね…
私はなんとなく納得して、暁さんに付いて歩く。
「おい、カシラがおいでだぞ!」
「おぉ!若頭!
ぜひ、うちの店を見ていってくだせぇ!」
屋台の人々は、暁さんを見て活気立った。
若頭…
つまり、組のNo.2…
そっか…
私なんか相手にされるはず無いわ…
そう囁いたのは、悪魔ではなく私自身だった。
「夜宵、ちょっと屋台の組み立てを手伝ってくるから、お前遠くに行くなよ!」
「子供じゃ無いから、わかってるわ。」
しかし、何となく直ぐには終わりそうも無かったので、土手をぶらぶらしていた。
「あれ?」
私は銀髪の男性を見とめた。
「おや、夜宵さん。
また、金魚のフンのように暁さんについて回ってるのですか?」
相変わらずの毒舌だ。
「…話があるの。」
「私はありませんが、5分だけ。」
そう言って神桜さんは、若い衆から抜けた。
「んー!
土手を散歩するのは、久しぶりだわ!」
「話とは?」
「…もしも、絶対に自分を見てくれない人を好きになったら…神桜さんなら、どうしますか???」
「…例え話ですよね?」
「もちろん。」
「諦めて、ずっと側に居られる方法を考えますかね?」
なるほど、それでヤクザに…?
とは、聞けない。
「ずっと側に…
だけど、それって苦しく無いの?
側に居ても、触れる距離でも、抱くことも抱かれる事も叶わない…」
「ふん。
その覚悟が無いのなら、さっさと田舎へお帰りなさい。
片道切符は用意しますよ?」