side暁
それから、俺はロシアンナイフの傷も癒え、久しぶりにブルーローズ社に向かった。
部下に挨拶されつつ、社長室に入った。
神桜が緑茶を持ってくる。
「おぅ、サンキュー。」
「…暁さん。
この間のロシアンナイフの件ですが…」
「何だよ。
謝罪ならいらねーぜ。
フェアに勝負した結果だからな。」
「いいえ、そうではありません。
アレは…
夜宵さんの為にやったんじゃ無いんですか?」
「…いや、ただ単にちょうどロシアンナイフを手に入れたからだ。」
「まぁ、そういう事にしておきますが…
夜宵さんは、まっっっったく!気づいていませんよ?
あなたの気持ちにも、あの勝負の意味にも。」
「ふん。
夜宵らしいな。
別に何も伝えるつもりは、無い。」
俺は言った。
「何故、そこまで意地を張るんですか?
本当は大切で大切でしょうがないくせに…」
「…だからだよ。」
「えっ…?」
神桜が聞き返したが、俺はそれ以上言わなかった。
「ところで、天雷会の動きはどうなっている?
最近それどころじゃ無かったからな。
動きはあったか?」
「ウチから1人スパイを送っていますが、新竜会を正式に統合…いいえ、吸収したみたいですね。」
「なるほど。
新竜会を吸収したか…
ますます雲行きが怪しくなってきたな。」
「嬉しそうですね。」
「あぁ、ケンカはでかい程良い。
やはり俺にはカタギの生活は無理だな。」
俺は苦笑いした。
「それと、西園寺さんから、電話がありましたよ。
折り返してくれ、とのことです。」
「西園寺が?
珍しいな。
分かった。」
神桜は退出していった。