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k-7

 もってきた荷物を売却した結果、手持ちの所持金は銀貨11枚、銅貨4枚となった。


 パン屋さんでパンと皮袋に入った水をショイコ半分くらいになるまで買った。それでも銀貨一枚で済んだ。これだけあれば、とりあえず飢え死にだけは免れるはずだ。



 その後、街を歩いて見つけた剣と盾の看板を鑑定したところ「土竜の寝床」と出た。


 中に入ってみると武器防具がずらりと並んでおり、店の奥にイカツイ隻眼の店主が座って暇そうにしていた。



 俺が身振り手振りで、武器防具がほしいということと、所持金が銀貨10枚であることを伝えると、店主は黙って俺に、鞘に入ったショートソードと皮で作られた鎧を投げてよこした。


 いかにも、初心者用という代物だったが、背に腹は変えられない。俺は「カイマス」と現地語で伝え、商談は成立した。


 ここで下手にディスカウントしたりすれば、今後の人間関係に影響を及ぼすかもしれない。ここは、言い値に従っておくほうが無難だと判断した。


 ディスカウントの交渉は高いものを買うような、ここぞというときのみ行うというのが鉄則だ。


 卵や薬草なら、まだまだ取引をする予定なので、ここは取引関係の構築を重視しなけてばならない。


 できれば、棚に立てかけてある弓矢も欲しかったが、聞けば金貨二枚とのこと。


 今はちょっと手がでないので、これは追々ということにしよう。


 最後に、彼は自分はマルゴだと名乗り、俺にゴツイ手で握手を求めてきた。


 俺も、彼がおそらくこちらの言葉で「ヨロシク」と言っているのを真似して、「ヨロシク」と握手を返した。そして俺は、マルゴの武器防具店を後にし、小屋に戻ることにした。




 今日は、結構収穫があった。まず、こちらの世界の人と交流をもてたのが大きい。


 現地の言葉をいくつか覚えたし、鶏の卵やハーブ類、魔物の素材などの取引先が見つかった。


 まずは、スライム相手にショートソードで戦闘をしつつ、薬草の採取をして、取引をするという生活をしよう。


 小屋に戻るまで、ちょっと歩きすぎて疲れたなと思い、イレーヌ薬草をムシャムシャとかじってみた。そうすると、体が温まり軽くなった。


『個体名:奥田圭吾の体力が6→7となりました』


 どうやら、体力があがったらしい。俺は基本的に仕事以外はインドア派な性質で、体力はない方だ。今日の活動は、今までの俺からしたら考えられない程の運動量となる。回復と同時に、体力上限値が上がったということだろう。

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